目次
人材派遣管理システムの概要
人材派遣管理システムとは?
派遣業務は、スタッフの管理や契約書の発行、マッチング、勤怠計算、給与・請求まで煩雑な作業が発生します。一般的には、エクセルだけでの業務管理は稼働スタッフ50名が限界と言われています。そこで登場するのが「人材派遣管理システム」です。これは、いわば“ひとつの箱”で、その中にすべてのデータを詰め込み、その“箱の中だけ”で業務を完結させるイメージです。エクセルや、ワード、メール、給与ソフトなど、バラバラのツールを使っていると、派遣スタッフAさんの住所が変わっただけでも、それぞれのツールに登録し直さないといけません。データとツール(機能)がひとつになっていると、そういった煩わしさもなく効率的に業務を行うことができます。派遣会社にとって必要な機能を最適化し、その「箱」ひとつで業務ができる。それが人材派遣管理システムなのです。
メーカーは何種類くらいある?
主要なメーカーは、7社程度あります。当社、ユニテックシステムの人材派遣管理システムは、業界の中でも「標準的な機能/標準的な価格」に当たります。
その他のメーカーとして、
◎価格は高めだが、その分機能もかなり充実しているメーカー
◎大手企業向けに設計されており、その分費用も割高なメーカー
◎マッチングに特化しており、給与・請求はオプションとなっているメーカー
など様々な特徴を持ったメーカーが存在します。
価格帯は?
一般的に人材派遣管理システムを導入するには、以下4種の費用がかかります。
◎初期費用:製品そのものの価格(本体価格)
◎月額費用:クラウドサービスなどの利用料金
◎役務費用:PCへのインストールや、操作研修などの準備費用
◎保守費用:サポートセンターへの問合せサービスやアップデートファイル提供費用
本体価格は50万円~300万円の製品が多く、昔は「買い切り型」一択でしたが、近年では「サブスクリプション型」(月額○○円で一定量利用できる)プランも各メーカーから登場しています。いくつかメーカーの価格例を見てみましょう。
≪比較前提条件≫
クラウドで5ライセンス利用でき、派遣業務に必要な基本的な機能が実装されている(勤怠集計/年末調整/賞与の管理機能あり)
<買い切り型>--------------------------------
◆ スタッフナビゲーター(当社製品)
初期費用:\1,550,000
月額費用:\55,000
役務費用:\150,000
◆他社製品 A
初期費用:\3,480,000
月額費用:\47,500
役務費用:\0
<サブスクリプション型>--------------------------------
◆他社製品 B
初期費用:\0
月額費用:\97,500
役務費用:\150,000
6年間使った場合で比較
「リース」と言えばコピー機やパソコンで組むイメージですが、実は「人材派遣管理システム」でも利用できることが多いです。上記表では、買い切り製品「スタッフナビゲーター」を、リースで利用し続けた場合の費用も掲載しました。
サブスクリプション型は初期費用が安く抑えらる為、導入ハードルは低いです。しかし、場合によっては買い切り型の人材派遣管理システムを購入した方が、長期的に見て費用を抑えられる場合がありますので、5年を目安に計算してみることをお勧めします。
【本当は怖い】派遣システム選び<失敗談>!
いざ導入後、業務フローに合わず現場が混乱した。。
でも、そのまま我慢して使い続けることになった。。
既存システムより出来ない事が多くなってしまった。
基幹システム選びを間違えると、現場が混乱したり、ずっと効率の悪い方法を続けなくてはいけなかったり、想像よりも大きな負担を社員に負わせることになります。また、導入に費やした工数(データ移行、操作方法の習得、社内業務フローの改修)と、システム導入費用などの金銭面でも大きな損失が出ることになります。こうならない為にも、以下ポイントを押さえて、自社に合った派遣システム選びをしましょう。
必須チェックポイント7つ
1.システム導入の目的・現場の課題点を整理する
人材派遣管理システムを検討(または他社メーカーから乗換え)を考え始めたきっかけは何でしょうか?「人材派遣管理システムさえ導入できればラクになる!」とは限りません。システム検討を始めると「こんなシステムが欲しい!」「そういえばこんな機能も必要!」「この機能もあればいいな!」等、要望がたくさん出てきて、どこのメーカーを導入すれば良いか、分からなくなることがあります。
そうならない為に、「本当に解決させたい課題」を予めまとめておくことをお勧めします。業務フローのどこに大きな負担がかかっているのか、実際に担当している人に細かな作業フローやそれにかかる時間を聞いてみましょう。自社が達成したい目標や、現場ごとの課題点によって、システム選びの基準は異なってきます。
また、人材派遣管理システムを導入することで課題点が、どのように解決されるか(工数削減/紙・印刷代等のコスト削減/派遣スタッフへのサービス向上)などを把握しておくことは、稟議を通す上でも重要です。
2.情報セキュリティの安全性
派遣業務は、個人情報や機密情報を多く扱う仕事です。人材派遣管理システムを選定する際は、高いセキュリティ環境を保ちつつ、利便性が保たれているかを軸に判断しましょう。具体的には、以下のポイントを確認すると良いでしょう。
・操作ログの記録
誰がいつどの画面を開いて、どんな操作を行ったのか記録に残るか
・権限ごとの閲覧・編集の設定
誰がどの範囲の画面をどう操作できるかを細かく設定できるか
例えば、入社3か月未満の社員は「閲覧」のみなど
・クラウドの場合
データセンターの管理体制
バックアップ体制(日次バックアップ自動取得の可否など)
場所や人、PCからのアクセス許可・不可の設定が可能か
・自然災害など有事の場合の対応
万が一、データセンターが被災した際は、
別拠点のバックアップ用サーバーに自動切換となる等の対策があるか
・メーカーの会社体制は万全か
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)や
Pマーク(プライバシーマーク)に準じた運用体制ができているか?
3.必要な機能を選んで使えるか
派遣会社の規模は、中小~大企業まで様々です。そこで多くのメーカーでは、どんな規模の派遣会社でも人材派遣管理システムが使えるように、
・基本的な機能を実装した「標準版」と
・必要に応じて標準版に追加して使う「オプション」を
設けていることがほとんどです。
比較的小さな規模の派遣会社は、基本となる「標準版」の機能がオーバースペックになっていないかを確認し、中規模の派遣会社は、自社の成長に合わせて追加するオプション(例えば、スタッフに前払いサービスを始めることになった時に対応オプションはあるか)など、将来を見え据えた「カバー力」がその製品にあるかどうかを確認しましょう。
4.法改正や機能アップデートは行われているか
ご存知のとおり、派遣法や労働基準法は頻繁に法改正が行われています。例えば2020年4月施行の「同一賃金同一労働」では、厚生労働省の定めたルールで賃金・待遇を決定する必要があります。この改正を受けて、弊社製品「スタッフナビゲーター」「キャスティングナビ」では、労使協定の対象となる事業所を設定し、職種・等級・地域ごとの賃金テーブルを作成できるようにしました。この機能は毎年公表される厚生労働省の職業安定局長通達に完全対応しており、「賃金構造基本統計」「職業安定業務統計」「職業安定業務統計による地域指数」の3種類の水準を下回らないよう、賃金のチェックが可能です。
このように法改正に合わせたアップデート、銀行・郵便番号の統廃合による新マスタの提供、日々寄せられるユーザーのリクエストに応じた機能アップデートが計画的に行われているかをチェックしましょう。
5.トライアル版があるかどうか&チェックポイント
WEBや資料から情報収集し、ある程度候補を絞り込んだあとは、トライアル版利用をお勧めします。トライアル版は、ほとんどのメーカーで準備されており、2週間~1か月程度お試し利用することが可能です。派遣会社の多くは、普段の業務を行いながらトライアル版で検証することになると思うので、負担にならないよう検証ポイントを予め決めておくとスムーズです。
また、この時点で各部署の責任者を巻き込んでおく(根回ししておく)と、システム導入時もスムーズです。
誰がどこまで検証すればいい?
現場の社員に、普段の業務をひと通りトライアル版で行ってもらうことをお勧めします。会社全体のフローがすべて試せるように各部署ごとの簡単なフロー図を作っておきましょう。
どうやって検証する?
なるべく「リアルな設定」で検証することをお勧めします。自社でよく採用しているスタッフ像、よく取引している派遣先、よくあるお仕事の内容と派遣料金、シフトパターンを題材に検証しましょう。トライアル版に入力する情報は、架空の名前(山田太郎さん/海山商事)など個人情報に配慮し、そのほかは、実際の金額や仕事内容などを入力しましょう。
検証するポイントは?
・必要な業務をひと通り行えるか。
トライアル版にはオプションがついていないこともあるので、
機能が不足している場合は、オプションがないかメーカーに確認しましょう。
・レスポンスの速さ、画面遷移の動線、よく見るデータ操作が簡単に表示できるか、
全体の操作性を確認しましょう。
・いつも検索している条件でスタッフ検索はできるか。いつも行ってる作業ができるか確認しましょう。
・データのインポート/エクスポートなどの柔軟性
例)求人情報サイトに掲載するための単価、仕事情報、は出力できるか
・外部システム連携
例)e-Gov電子申請への連携
・アウトプットされた結果を見比べる
帳票は正しく出力されているか、既存帳票と見比べましょう。
既存システムを平行稼働をさせて、給与計算結果を見比べましょう。
・社内の運用と合わない場合は、システムに合わせて、
運用方法を変えられるか現場の担当者に確認しましょう。
・分からないことがあったら、どういう解決方法があるのか。
説明書、よくある質問集、サポートセンターへ質問する(電話・メール)
メーカーによっては、トライアル版利用中でもサポートセンターに問合せすることができますので、
実際に使ってみるのも良いと思います。
・業務効率化に繋がるのか。
既存のやり方と比べてみて、時間がどれだけ短縮されるか
計測してみるのも良いでしょう。
※稟議提出時に客観的なデータがあれば、決裁者も判断しやすいです。
6.サポート体制がしっかりしているか
多機能な人材派遣管理システム。使っていくうちに分からないところや、運用相談したいことが出てくると思います。そんなとき、長く使う上で製品サポートとのお付き合いは必須です。良いサポート体制かどうかを見極めるには、どんなポイントを確認すれば良いのでしょうか。
・サポートセンターの営業時間
極端に短い、または自社の営業時間と合わないということはないか。
・サポートセンターとの連絡ツール(メール/電話/リモート画面共有)
メールだけでのサポートになっていないか。
リモートサポートがあれば、同じ画面を見ながら会話ができます。
・電話が混みあっていて、いつも繋がらないということはないか。
・オペレーター(サポート担当者)の回答スピード、丁寧さ、正確さは充分か。
・万が一の時は、自社まで来てくれるか。支店や営業所は近くにあるか。
7.メーカーの規模・存続性と信頼性
意外に見落とされがちなのが、人材派遣管理システム提供メーカーの経営が安定しているのか、ということです。万が一、メーカーが倒産すると法改正に合わせた機能アップデートの提供はもちろん、不明点があっても聞くことができません。最悪の場合、そのまま使い続けるとデータを消失してしまうこともあり得ます。サポートが受けられないというのは、それほどまでに怖いものなのです。
会社設立、製品販売開始からどれくらい経っているか、導入実績社数、口コミ、導入事例、などを元に総合的に判断しましょう。
また、営業マンの振る舞いも、そのメーカーの社風・体制を知る手がかりとなります。
・自社の課題を無視して、製品のメリットばかり説明してこないか?
・デメリットも正直に教えてくれるか?
・自社の隠れた真のニーズをつかんで、解決方法を提案してくれるか?
をポイントにメーカー自体の気質も合わせて検討してみましょう。
ユニテックシステム株式会社
営業本部 ソリューション営業チーム
統括マネージャー 野洲 利彰
2006年にユニテックシステム株式会社へ入社。同時期に開設された大阪支店に配属となり、西日本エリアを中心に14年間営業活動を行う。その後、順調に売上げを伸ばし2018年、大阪支店 支店長に就任。現在では、大阪支店全体のマネジメントと新製品開発にも携わっている。趣味は釣りで、3児のパパ。自社製品を通じて人材ビジネス業界に貢献できればと考えている。