【初テレワーク】ユニテックシステムが実践したこと<社長が解説>
なびー
ユニテックシステムは、緊急事態宣言の約1か月前にテレワークを本格導入しましたね。社長として、戸惑いはありましたか?
渡辺
はい、最初は戸惑いがありました。仕事環境の準備のことや、コミュニケーションがうまく取れないのではないかと心配していました。
なびー
そんなユニテックシステムも、テレワークを導入して5カ月が経とうとしていますね。現在は、どんな感じなのでしょうか?
渡辺
一部社員を除き、約7割の社員がテレワークを継続しています。急なスタートでしたが、比較的スムーズに機器やツールの導入ができました。現在では、コミュニケーションツールをうまく使って仕事をする文化が社内に定着したと思います。
なびー
では、テレワークを導入するにあたり、ユニテックシステムが具体的にどんなことを実践したのか教えてもらえますか?
渡辺
はい、ひとつずつ解説していきますね!

PBX(クラウド電話交換機)を導入し、会社の固定電話を自宅で受ける

PBXは、電話交換機とも呼ばれ、外線の接続を管理・制御したり内線同士を繋げるシステムです。オフィス内に設置しているPBXをクラウド化し、インターネット上での通話・通信を行うことで、会社の固定電話をスマホやPCからでも着信・発信できるサービスです。
スマホから会社の電話番号で発信することができ、テレワーク中の営業担当者はよく利用しています。

弊社は偶然、緊急事態宣言の前からPBXを検討していたので、いざ必要になったときに2週間ほどで導入することができました。

ちなみに、導入したのは『 INNOVERA(イノベラ) PBX 』というサービスで、かかってきた番号がアプリ内でわかり、タップでかけ直せるので便利です。音質も良く固定電話で話す時とあまり変わりません。

渡辺
会社の固定電話に着信があったら、このようにスマホで受けることができます。
<実際の画面>PBXを通してかかってきた転送電話

コミュニケーションには Microsoft Teams を活用

テレワークになってから、大活躍しているのが「Microsoft Teams」です。通話、チャット、Web会議ができる強力なテレワークツールです。

チャット機能

メールと比べてチャットは気軽な印象の為か、チャットを取り入れてからレスポンスが早くなった気がします。また、チャット内での「お疲れ様です。」や「よろしくお願いします。」などの慣例的なあいさつも、一斉に廃止しました。それも、業務効率化につながったと思います。

「Teams」は、Microsoftが提供するツールの為、Office主要ソフトとの親和性が高いことも特徴で、WordやExcelファイルを共同で編集することができます。全社員への公開アンケートや、全社員のPCの棚卸し管理に使っています。

通話機能

「Teams」でのビデオ通話は、音質も良く使い勝手も良いです。テレワークはお互いの信頼関係で成り立ちますが、やはり成果が出ないとテレワークは成立しません。そこで、1週間でやったことを週に1度、画面共有して見せ合い、それに対して意見交換します。定期的に成果を発表する場をもつことはテレワーク業務において重要かと思います。

また、私自身もチャットで済むようなことでも、たまにはビデオ通話で顔をみながら回答しつつ、雑談するようにしてます。

渡辺
おや、宇宙で仕事中のようですね。
バーチャル背景機能まであって、部屋を見られることもありません(笑)

会議機能

ユニテックシステムでは、半期に一度、全社員(約100名)が集まって会社の収益の発表や、それぞれの部署の取組みを発表する「全体会議」というものを行っています。しかし、今年4月の全体会議はコロナの影響で集まることができませんでした。そこで、35年の会社の歴史で、はじめて全体会議をオンライン開催することに。その時に役立ったのが「Teams」です。私、代表の渡辺と、取締役の浜田のみ出社し、そこから自宅にいる全社員に向けて配信しました。

渡辺
大人数で開催するときのポイントは、予行演習してマイクやカメラ、その他設定の確認をしておくことと、ツールへの接続方法をまとめた資料を作って、事前に全員に配布しておくことです。

レクリエーションではZoomを活用

全体会議のあとは、平時であれば飲み会を行うのが慣例なのですが、今回は飲み会もオンラインで行うことに。各自コンビニなどでお酒やおつまみを用意してもらい、「Zoom」でビンゴ大会を開催しました。Teamsでは、当時、画面に最大4名しか映らなかった為(現在は9名まで増えている)、ビンゴではなるべく多くの社員の顔を見たかったので最大25名同時に映る「Zoom」を使いました。

ビンゴの景品画像を、画面共有で参会者に公開し、オンラインでもワクワク感が出るように演出しました。


パネもく(パネル付き目録景品セット)を展開する、株式会社ディースタイル 星合 稔宜 社長の協賛により、オンラインビンゴ大会を開催しました

テレワーク環境整備手当を全社員へ支給

テレワークを導入して1週間ほどで、チラホラ聞こえてきたのが、「腰が痛い」「肩が凝った」などの不調でした。聞いてみると、ローテーブルやソファで長時間PCを使った作業をしてるとのこと。それぞれの自宅に合ったテレワーク環境を整えられるように、テレワーク環境整備手当として18,000円を全社員へ一律支給しました。

また、私の知り合いの会社では、デスクとチェアをレンタルして、社員の自宅に届けるという策を取ったようです。短期間のテレワークには、レンタルも良いですね。

渡辺
テレワーク環境整備手当で、スタンディングデスクを購入した社員もいます。健康的でいいですね。集中力もアップしたそうです。
社員が購入したスタンディングデスクでの業務の様子

完全テレワーク、時々テレワーク社員の交通費は?

これも部署や状況によってまちまちで管理が大変ですね。弊社では、

・出社日数が15日以上の社員には、定期代を支給して
・15日未満の社員にはテレワーク手当を支給しています。

15日未満の社員が数日出社する場合は、その日数分の交通費を支給します。

ソフトウェアVPNで自宅から社内LANに参加

ユニテックシステムには、コンサルティング本部といってPCやサーバー、各種ハードウェア、インターネットやLANなどのネットワークを調整する部署があります。今回、急なテレワーク移行で自社の環境整備を行ったのが、コンサルティング本部でした。

コンサルティング本部によると、テレワーク環境整備時に最も気を付けたのは、セキュリティと利便性の両立。今回は、ソフトウェアVPNを採用しました。VPNとは、インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定の人のみが利用できる専用ネットワークのことです。

ソフトウェアVPNで自宅からでも社内LANにアクセス可能になる

VPNサーバを構築して、ソフトウェアVPNクライアントのインストーラーを各社員に配布し、自宅からでも安全に会社サーバへ接続できるようにしました。運用ルールを策定し、さらにマニュアルも作成・配布。全社員がテレワークをスムーズに開始できるようにサポートしました。

ノートパソコンの支給

今後、テレワークが働き方のひとつとして、ユニテックシステムに定着することを見込み、助成金を使ってノートパソコンを全社員に支給しました。各部署や職種で必要スペックが違って来ますので、業務をヒアリングして最適なスペックのものを選定しました。
また、自宅で仕事をする際、ノートパソコンとは別にモニタがないと作業効率が落ちるため、会社で使っているモニタを各自宅へ配送しました。社内にいる時と同じような生産性を上げられるテレワークの環境づくりは、コロナ対策をはじめ、台風や大雨など会社に出勤できない事態にも備えておくことで、BCP対策につながると思っています。

テレワーク申請書

テレワークを行う社員には、以下の内容を順守する旨を記載した申請書を提出させています。一部、内容を紹介します。

・自分以外の人間に、機材を利用させない。家族との共用もしない。
・会社で許可されたソフトウェア以外インストールしない。
・使用するソフトウェアのアップデートを怠らない。
・ウイルス対策ソフトウェアは常に最新の状態し、常時有効化しておく。
・PCのログインパスワードを設定し常時有効化しておく。
・紛失・盗難・その他問題発生時には速やかに「情報セキュリティ管理責任者」に報告する。
・業務終了後、関連データは必ず削除する。
・PCデスクトップ及び利用中のデータはいつも整理された状態を保つ。
・会社内・会社から許可されたネットワーク以外の接続をしない。

勤怠管理

自宅から出勤退勤打刻を行う社員

弊社の勤怠管理は、「e-naviタイムシート」というWEB勤怠管理サービスを利用しています。(弊社のグループ会社の製品です)PC・スマホ・ガラケー等、デバイスに縛られず出勤退勤打刻ができ、勤怠の記録がとれるようになっています。場所に縛られず利用できるので、急遽テレワークになったときにも慌てずに済みました。

3月と4月は、短時間勤務/時差通勤/テレワークが混在し、さらに同じ部署内でも作業環境によって定時が違う為、労務管理部門では勤怠チェックがとても大変のようでした。パターン一覧を作成して、都度計算せず見合わせながらチェックするなど工夫をしていたようです。

アンケート&社員の声

ユニテックシステムでは、2020年5月下旬に社員向けのテレワークアンケートを行いました。結果としては、コミュニケーションは減ったものの、テレワークをすることでの生産性の大きな低下や、ストレス増といったことはなく、全体的に社員は「テレワーク継続」を希望する傾向にあります。

渡辺
この結果は各部署の責任者に共有し、テレワークでの業務改善に役立ててもらっています。

アンケート結果

各社員が5段階評価で回答し、最も多かった回答をピンク色にしています。

生産性自宅での作業環境自宅の通信環境コミュニケーション(所属部署内)コミュニケーション(所属部署外)
非常に下がっている非常に働きづらい非常に低速非常にコミュニケーションが減った非常にコミュニケーションが減った
やや下がっている働きづらいやや低速ややコミュニケーションが減ったややコミュニケーションが減った
あまり変わらないあまり変わらない会社と変わらないあまり変わらないあまり変わらない
やや高まっている快適やや高速ややコミュニケーションが増えたややコミュニケーションが増えた
非常に高まっている非常に快適非常に高速非常にコミュニケーションが増えた非常にコミュニケーションが増えた
【表1】 2020年5月下旬に実施した自社社員向けのテレワーク状況調査(回答数49名)
WEB会議コミュニケーション速度作業負担テレワーク実施による残業上司からの作業指示
非常にやりにくい非常に遅くなった一部社員に非常に負担がかかっている非常に増えた非常にわかりづらくなった
やりにくいやや遅くなった一部社員にやや負担がかかっているやや増えたややわかりづらくなった
対面と変わらないあまり変わらないあまり変わらないあまり変わらないあまり変わらない
やや、やりやすいやや早くなったバランスが良いやや減ったややわかりやすくなった
非常にやりやすい非常に早くなった非常にバランスが良い非常に減った非常にわかりやすくなった
【表2】 2020年5月下旬に実施した自社社員向けのテレワーク状況調査(回答数49名)
部下への作業指示ストレス健康面テレワーク希望頻度出社日希望頻度テレワーク満足度
非常にやりづらくなった非常に増加した非常に悪くなった出社したい毎日非常に不満
やや、やりづらくなったやや増加したやや悪くなった月に数回週1回やや不満
変わらないあまり変わらないあまり変わらない週1日以上隔週どちらとも言えない
やや、やりやすくなったやや軽減されたやや良くなった週3日以上月1回やや満足
非常にやりやすくなった非常に軽減された非常に良くなった毎日四半期に1回非常に満足
【表3】 2020年5月下旬に実施した自社社員向けのテレワーク状況調査(回答数49名)

社員の声

テレワーク良いと思います! 派の意見

・チャットでのやりとりが多いので、自分の考えを整理して文章を書く力がアップした。
・満員電車で3時間往復する必要がなくなりストレスが減った。
・子どもの宿題を見てあげられる時間が取れるのは、助かります。
・資料制作など集中力がいる作業は、家の方が集中できます。
・本格的にテレワークが導入されるのであれば、住む場所が勤務地に左右されづらくなるので、将来設計の選択肢が広がるので非常にありがたい。
・通勤のストレスが無いのは良い。この1ヵ月で日光の有難みを実感した。
・チーム内の状況把握は意識的に行う必要があると思った。
・天候にも左右されずストレスなく業務を開始できる。
・雑談的なコミュニケーションはかなり減ったと思いますので、コミュニケーションしたい人用にお昼休憩は自由に集まれるズームの部屋があったら楽しいだろうなと思います。
・テレワーク開始直後は膝や腰に負担がかかっていましたが、思い切って仕事環境を整備したことで、非常に快適になりました。
・休憩時間は、会社よりもゆっくり休めます。
・作業効率は段階によりますね。実装、テストは一人でやった方が集中できるし、仕様検討、設計は会社にいた方がコミュニケーション含めてやりやすい。作業の段階や状況に応じて出社を選択できるようになってほしい。

テレワーク困ってます! 派の意見

・腰と肩が痛くなった。
・子どもがいる中での仕事は大変すぎる。
・仕事とプライベートの境界があいまいになった。
・ついつい残業してしまう。
・客先に行けないので、お客さんの反応が良いのか悪いのか分かりづらい。
・横のデスクにいればすぐに伝えられることも、伝えられないのは小さなストレス。

渡辺
働き方も時代に合わせて進化しています。「社員にとって働きやすい環境づくりを目指すこと」それが、会社全体の生産性UP、ひいてはユーザー企業様の満足度UPに繋がってくると私は考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ユニテックシステム株式会社
代表取締役 渡辺 正憲

日大桜ヶ丘卒業後、現在東証一部上場企業のIT企業に入社し、初の営業マンとして営業部門を確立。その後、独立し取引時に出会った人物と二人で26歳の時に、資本金500万円をもって、1986年に東京都千代田区岩本町にて会社設立。ソフト/ハードの融合技術を目指すシステムハウスとして、ユニテックシステムと命名。2001年に販売開始した人材派遣管理システム「スタッフナビゲーター」がヒットし、人材派遣管理システムシェア率No.1を獲得。現在では、関連会社含め従業員約100名をかかえるシステムメーカーのトップとして、「チャレンジ精神」をモットーに走り続けている。

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