定期指導で提出する「待遇に関する事項についての説明書面」とは?

こんにちは。社会保険労務士の中宮 伸二郎です。

各都道府県労働局の需給調整事業部門では、労働者派遣事業に関する定期指導を実施しています。これは、法令に沿って事業運営がなされていることを確認するために実施されるもので、事前に連絡があり、準備する書類が指示されます。今回は、指導監督時に提出する書類のうち、待遇に関する事項の説明・明示に関する解説です。

※この記事は 2021年6月28日時点の情報を元に解説しています。

都道府県によって異なる「待遇に関する事項の説明・明示」

準備する書類は、労働局から派遣会社に郵送される文書に記載されていますが、「待遇に関する事項の説明・明示」に関する表記は、都道府県によって様々です。神奈川県以外の表記は一見して何を準備すればよいのか分かりにくいのですが、労働者派遣法第31条の2に関するもので、4つの説明・明示を指しています。

東京雇入時・派遣時等の労働条件・待遇に関する事項の説明・明示
大阪派遣労働者への待遇に関する事項についての説明書面
神奈川派遣労働者に対する待遇に関する事項等の説明に係る書面等(法第31条の2 第1項~第4項)

第1項 雇用しようとするときの説明

応募者に対して、以下の事項を説明することとされています。賃金額の見込みについては、文書等の交付によって説明しなければなりません。

①賃金額の見込み、保険適用その他待遇に関する事項
②事業運営に関する事項
③労働者派遣制度の概要(労働契約申込みなし制度を含む)
 厚生労働省作成のパンフレットを交付することが多いです。
④均衡待遇のために配慮した内容
 派遣先均等均衡方式、労使協定方式どちらで待遇を決定するかについて説明します。
⑤教育訓練制度、キャリアコンサルティングに関する事項
 2021年1月から追加された項目です。

第2項 雇入れ時の明示と説明

明示事項
①昇給、賞与、退職手当の有無
②協定方式対象者であるか否か(協定方式対象者の場合、協定の有効期間の終期)
③苦情処理に関する事項

※人材派遣管理システム「スタッフナビゲーター」「キャスティングナビ」を利用している場合、「雇用契約書(兼)就業条件明示書」に明示事項は含まれています。

説明事項
説明は、就業規則、賃金規程、労使協定方式の労使協定などの書面を活用しながら、口頭により行うことを基本とします。また、説明後に活用した書面を交付することが望ましいとされています。一方、派遣労働者が容易に理解できる、説明すべき事項を全て記載した書面を用いる場合には、当該書面を交付する等の方法でも差し支えないとされていることから、雇用契約書の備考欄などに記載している派遣会社もあります。

「派遣先均等・均衡方式」により講ずることとしている措置の内容均衡待遇の対象となる派遣社員については、派遣先の通常の労働者との間で不合理な相違を設けない旨をいうこと。
均等待遇の対象となる派遣社員については、派遣先の通常の労働者との間で差別的な取扱いをしない旨。
「労使協定方式」により講ずることとしている措置の内容派遣社員の賃金及び賃金以外の待遇(派遣先の教育訓練及び給食施設、休憩室、更衣室を除く)が労使協定に基づき決定される旨。
賃金決定に際し勘案する事項職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案してどのように賃金(※)決定するか。
※職務の内容に密接に関連して支払われる賃金以外の賃金(例えば、通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当)は除く。

第3項 労働者派遣をしようとするときの明示と説明

明示事項
①賃金の決定、計算、支払いの方法、締切日・支払日
②昇給、賞与、退職手当の有無
③協定方式対象者であるか否か(協定方式対象者の場合、協定の有効期間の終期)
 労使協定対象派遣社員には、③のみ明示

説明事項
説明事項と説明の方法は、第2項雇入れ時と同じです。

第4項 派遣社員から説明を求められたときの説明

書面を活用し口頭で説明します。


定期指導の際は、慌てずに普段使用している書類をご準備ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


ユアサイド中宮

解説者

社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員

社会保険労務士 中宮 伸二郎

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。

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