私は、請負現場を複数立ち上げ⇒派遣の担当者⇒マネージャー⇒支店長を経験したのち、船井総合研究所に入り、派遣・請負のコンサルタントを8年勤め⇒その後独立。人材ビジネス業界に携わり20年。現在、約140社が参加する高付加価値型アウトソーシング研究会を主催しています。
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目次
【解説】止まらない人手不足と今後の展望
山内氏:
賛否両論ありますが、状況から言って日本の少子化は凄いスピードで進んでいます。私が学生だったころと比べると、今の学生は約半分くらいまで減っています。そうなると、生産労働人口がどんどん減っていっていきます。今でもピーク時から1,000万人くらい減っているのですが、これまで以上のペースで減っていくことは明らかです。やはり日本の労働力不足は避けて通れない問題になってくるだろうということが予測できます。
国内だけでは人手不足を解決できない問題なので、外国人の力を借りないといけない状況です。特定技能のような実習制度を利用した、外国人労働力というのは今後も増えていきます。現時点でも、外国人労働力は170万人ほどいると言われております。日本の派遣労働者が150万人弱なので、すでに派遣労働者より外国人労働者の方が多いのです。派遣会社としても、外国人労働者の存在は無視できない状況なのは間違いないと思っています。
<解説>技能実習制度と特定技能制度の違い
私は派遣領域・請負領域において、プロという自認をしています。しかし、外国人の分野に関して専門家ではありません。今回はさわり程度のお話をさせていただきます。
そもそも建前上は「技能実習制度」なので、労働力として扱っていません。いわゆる発展途上国などの労働者が、日本の高い技術を学んで自国で生かしてもらうという体で受け入れている制度です。しかし、事実上労働力に近いものとして受け入れているのが現状です。
外国人実習生と日本の雇用側の双方にメリットがある制度ですが、様々な問題も起こりました。
最たるものが、外国人実習生が転職できない点です。この転職できない点が一つのウリとして使われている部分があるんです。
派遣労働者はすぐに辞めてしまう人もいますし、直接雇用でさえ非正規の方々も比較的すぐに辞めてしまいます。しかし、外国人実習生は事実上転職できません※。さらに、来日する際に借金を抱えてきているケースが多い。
※同一職種に限り、技能実習2号から技能実習3号になるタイミングで職場の変更が可能。
その職場でうまく稼げなかった場合、「稼げると見込んで来日したのに、生活費を切り詰めて借金を返済しなくてはならない」という事態になります。そのせいで、現代の奴隷制度などと諸外国で言われたりしています。
転職ができない制度では、酷い環境で働かされて逃げられない、非人道的な環境になる場合があります。
さすがに良くないと思ったのか、純粋に労働力として日本に来てもらう制度。特定技能制度が作られました。こちらの制度では実習期間中の転職ができないなどの縛りはなく、在留資格の変更さえできれば同一の業務区分内で自由に転職ができるようになりました。
「技能実習制度」は技能を教えるために、受け入れ人数の制限がありますが、「特定技能制度」は人手不足を補う目的があるため、受け入れ人数の制限がありません。
入国しやすい特定技能制度に期待されていましたが、制度が作られた段階でコロナ禍に突入し、思ったように外国人労働者が増えていません。この先増えるかどうかは不透明ですが、現時点では特定技能の方がもっと増えればいいのにと、個人的には考えています。
外国人労働者との関わり方
特定技能の支援機関という許可を取っている派遣会社なら、「特定技能の外国人労働者の身の回りの世話をする」というビジネスを行えます。この支援機関がやっていることは、派遣会社が派遣スタッフへ行っているケアと非常に近いものがあります。
外国人を相手にするハードルはありますが、そこさえ乗り越えば、通常の派遣事業とそう違わないように思います。特定技能実習生の組合を作るよりずっと簡単です。
留学生外国人の方は週28時間までしか働けない制限はありますが、この方々をうまく組み込むことができれば、人手不足の人材派遣事業の稼働を埋めることができます。
まだ何も行動をされていない派遣会社は、特定技能の支援機関の許可を取るところから始めていただくのが一番スムーズだと私は思います。
<注意点>外国人労働者を扱う際のリスク
「技・人・国(ぎじんこく)」と呼ばれる、高度な技術や人文知識をもっている方々がいます。日本語レベルの高い技人国の方々は日本国内で働ける仕組みがあります。家族を連れて来られるなど、優遇もあります。
技人国は特定分野の職務に就労してもらう条件で契約するので、一般的な派遣社員の感覚で仕事を任せると痛い目にあう場合があります。
例えば、翻訳の仕事をしますという話で契約したのに、実際には検品や組み立ての仕事を技人国にさせている。
こういった場合は、派遣許可の剥奪では済まず、逮捕や書類送検などの危険があります。より一層の注意が必要です。
就労を希望する外国人をきちんと確認せず派遣すると、実は違法就労でした、在留資格がありませんでしたということがありえます。その場合でも重い処分が下されます。外国人を日本の派遣法で派遣する場合は、通常の派遣よりリスクがあります。行う時は厳重に調べたうえで行いましょう。
まとめ
この先人口が減っていくことは、間違いありません。若者がどんどん減っていくことを踏まえて考えると、日本は事実上の移民政策に舵を切った国になっていくだろうと思います。
居酒屋やコンビニの店員が外国人という光景が珍しくなくなったように、様々なサービスが形を変えていくと思われます。私自身はこのテーマでコンサルタントをする気はありません。しかし、知らないではいられない。ちゃんと情報は追ってビジネスチャンスを掴むべきだと思いますし、外国人に全く関わらずに来ていた派遣会社さんは重い腰をあげて、見て考えていただくことは必要だと思います。
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人材ビジネス経営コンサルタント 山内 栄人 氏
株式会社人材ビジネス経営研究所 代表取締役
株式会社過去オール善 代表取締役
高付加価値型アウトソーシング研究会 主催
▽全国の派遣会社約140社が正会員として加盟
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請負現場を複数立ち上げ、派遣の担当者、マネージャー、支店長を経験したうえ船井総合研究所に入り、派遣・請負のコンサルタントを8年勤め、その後独立。派遣業界の地位向上、不本意型の派遣社員を一人でも減らすべく活動中。
現在はYouTubeチャンネルをエイジン名義で毎日更新。派遣の情報も豊富に発信中!
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