<コンサルタント山内氏が解説>人手不足の背景と対策
渡辺部長
こんにちは。私は、派遣会社の営業部長をやっている渡辺と申します。派遣業界向け経営支援のエキスパートである、コンサルタントの山内さんに色々教えてもらえるってことで、やって来ました!
山内氏
こんにちは。株式会社人材ビジネス経営研究所 代表の山内 栄人です!
私は、請負現場を複数立ち上げ⇒派遣の担当者マネージャー支店長を経験したのち、船井総合研究所に入り、派遣・請負のコンサルタントを8年勤めその後独立。人材ビジネス業界に携わり20年。現在、約140社が参加する高付加価値型アウトソーシング研究会を主催しています。
渡辺部長
現在の採用難について詳しく教えてもらえますか?
山内氏
では、解説していきますね~!

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【解説】採用難の背景とは

渡辺部長
採用に苦しんでいる会社も多いと聞くのですが、この採用難にはいったいどんな背景があるか教えていただいてよろしいですか

山内氏:今現在起きている採用難の背景についてお話します。

最も大きな要因は「単純に人がいない」ということに尽きます。いわゆる有効求人倍率(求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値)が1を超えています。つまり、働きたい人より求人の方が多い状態です。

高度経済成長期とバブル期、小泉政権時、リーマンショック前。4度しか起きていない有効求人倍率1超の事態が今起こっていて、解消する見込みがないほど人手が足りていません。派遣事業に限らず、あらゆる業職種が人手不足になってきています。

不景気になって、とことん仕事がない状態にならない限り、派遣事業の人手不足は解決しないと思っています。

<予想>今後の人手の動き

渡辺部長
人手不足の波が、今後どうなっていくのか。ご意見をお願いできますか?

コロナ禍が落ち着いてくれば、人の動きや消費が活発になります。そうなれば人手が必要になります。ただでさえ足りない人手が不足することが予想されます。

この2年間、居なくなっていた外国人労働者や技能実習生が入国してくれば、人手不足も少し解消されますが、それでも苦しい状況は続きます。

有効求人倍率が落ちるほどの不景気か、労働者数が必要なくなるほどの自動化技術が生まれる。そのような局面になれば、採用難は落ち着いて、逆に人余りの状況になると思われます。

ダイエットで例える採用戦略

渡辺部長
派遣会社が採用難を乗り切るために考えておいた方が良い点などがあれば教えてください

採用の戦略に明確な答えはありません。私は「採用はダイエットと同じ」とよく例えます。

痩せたい、ダイエットしたいと口に出しているだけでは結果はでません。自分の体重すら知らないとダイエットも何もありません。まずは体重計に乗るべきです。
もちろん、それで終わりではなく、1週間~1ヶ月に一度、できるなら毎日乗った方が良い。もっと真剣にやるなら朝・晩、体重計に乗るくらいのことして、初めてダイエットが成功する。

採用も同じで、ひと月~1年に一度しかデータを取っていないというのは、ザルとしか言いようがありません。派遣会社で採用の数値として気にされるのが「問い合わせ数」や「面接設定数」。「登録実施数」「登録数」「稼働に至った稼働数」などです。

これらを詳しく調べていくと、その値の「面接設定率が何%」であったり「実際に面接に来た実施率が何%」なのかわかってくる。細かくデータを取れば取っただけ深い検証が可能になります。

今はほとんどの派遣会社が、さまざまな優良媒体やオウンドメディア(=企業が自社で保有するメディアのこと)、Indeed(インディード)さんなどのチャネルを使って募集をされています。そこでも「反響率」や「問い合わせ数」、「面接数」、「稼働数」。幾らかけて、成果がどれだけ出たのかを一個一個検証する。検証を反映した注文をしていく。これの繰り返ししかありません。

ダイエットで目標の体重までいったからといって、何もしなければリバウンドします。採用でも同じように、思ったように採れていても、そこで止めれば採用数が悪化していくだけです。検証して改善を続けることが大切です。

私が人材派遣ビジネスの世界に入ったころは、新聞折り込みの求人がメインだったものが、フリーペーパーになり、さらにインターネット求人サイトへ。さらにオウンドメディアに変化していきました。

今でいうと、SNSや動画コンテンツが活発ですね。どんどんチャネルは広がっているので、同業他社さんがやっている採用戦略をよく観察して、取り残されないようにして頂いた方がいいのではないでしょうか。

<実践>採用業務の体制について

渡辺部長
採用業務を行う際の助言があればお聞かせください

私が人材派遣ビジネス業界に入ったころは、所長や支店長、営業担当が兼任して、採用の広告の発信・管理をして、面接数を調べたりといったことをやっていました。本社や拠点がいくつかある規模の会社であれば、1名で良いので「採用だけをやる方」を立ててみることをお勧めしております。

なぜなら、兼任で採用・管理をやっていると、どうしても片手間になる。すると、本来であれば求人広告会社と打合せをする予定のところに、お客さんからトラブルの呼び出しがかかったりする。どちらを優先するか天秤にかけると思うのですが、普通は顧客・スタッフさんを優先する。なので、採用は後回しにされる。こういったドタバタが、人材派遣ビジネスにはつきものです。ドタバタしているうちに、気づけば求人広告の更新も止まって、出しっぱなし。そういったことになりかねない。採用専属の方を立てれば、採用のみに注力できる体制が作れます。

規模の小さい企業でも、可能であれば採用専属の方を立てるのが良いと思います。人材派遣における採用広告というのは非常に大きな要素なので、考え方によっては営業よりも重要と言えます。そういった内容を片手間でやっていること自体が間違いですし、専属を立てて同業他社の原稿の研究や、新しい採用方法の実験を進めていただいた方が良いと思います。

まとめ

まとめになりますが、採用というのは、1日にして良くなるものではありません。例えば、1年を通して見たときの増減の波もあります。〇月頃はどうだ、月初月末などで変動します。なので、ずっとデータを取り続け、比較・分析を続けていくことに意味があります。

まだデータが取れていないという派遣会社は、責任者を立てて、すぐに取り掛かっていただく。ダイエットと同じで、ずっとやり続けるということが重要になってきます。無理せず、データを取り続けてください。最小限これだけという項目だけでも決めて、継続しましょう。

真剣にデータと向き合って結果が出なかったという会社ほとんどありません。しっかりやっていただいたら、今よりも採用のパフォーマンスは上がります。ぜひ実践してください。

質問を募集中

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日々の業務でギモンに思うことや、アドバイスが欲しいこと、中長期的な事業戦略まで、どんなことでもぜひお気軽にご入力ください。募集した質問の中から、いくつかに対して、山内 栄人 氏より動画&記事にて回答いたします。


人材ビジネス経営コンサルタント 山内 栄人 氏

株式会社人材ビジネス経営研究所 代表取締役
株式会社過去オール善 代表取締役
高付加価値型アウトソーシング研究会 主催
▽全国の派遣会社約140社が正会員として加盟
https://www.jinzai-biz.co.jp/studygroup/studygroup.html

請負現場を複数立ち上げ、派遣の担当者、マネージャー、支店長を経験したうえ船井総合研究所に入り、派遣・請負のコンサルタントを8年勤め、その後独立。派遣業界の地位向上、不本意型の派遣社員を一人でも減らすべく活動中。

現在はYouTubeチャンネルをエイジン名義で毎日更新。派遣の情報も豊富に発信中!
▽『リアルゲームチャンネル(リアルをゲームのように攻略するチャンネル)』
https://www.youtube.com/channel/UCOR3wQK7wI3qfTCPrf1SqCQ

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