2回目の事業所抵触日の延長【注意点と方法】

こんにちは。社会保険労務士の中宮 伸二郎です。

2021年10月1日は、事業所単位抵触日が集中する日です。2015年10月1日から現在の事業所単位抵触日の制度が導入され、多くの派遣先では、2015年10月1日から3年間の受け入れ期間設定し、その後2018年には、これを3年間延長し、今年(2021年)の10月1日に2回目の事業所単位の抵触日を迎えます。 今回は、事業所単位の抵触日の延長について解説します。

※この記事は 2021年7月26日時点の情報を元に解説しています。

【1】意見聴取を実施

事業所単位の受入期間制限は、延長することが認められています。ただし、派遣先が一方的に延長するのではなく、利害関係者である派遣先直接雇用労働者の意見を聴取しなければならないとされています。

 意見を聴取する相手は、派遣先事業所に過半数を組織する労働組合がある場合は労働組合、なければ過半数代表者です。過半数代表者の選出が不適切な場合、事実上意見聴取が行われなかったことになり、継続して派遣を受け入れた場合は期間制限違反となり、労働契約申込みみなし制度の適用を受けることになります。

意見聴取は、抵触日の1か月前までに実施しなければなりません。派遣元は事業所単位を迎える派遣先に対し、意見聴取の実施を依頼してください。

【2】意見聴取の具体的な方法

意見聴取手続は、以下2項目を過半数労働組合等に通知して行わなければなりません。
①労働者派遣の役務の提供を受けようとする事業所、その他派遣就業の場所
②延長しようとする期間

また、意見聴取の際は、派遣受け入れ開始からの派遣社員数と派遣先の正社員数の推移等を提供することが求められています。様式や具体的な提供事項は法令で定められていないのですが、表のように派遣先事業所における1年ごとの推移を表にすることが考えられます。

派遣労働者の受入期間派遣社員数の推移正社員数の推移
2015.10.1~2016.9.302名59名
2016.10.1~2017.9.302名58名
2017.10.1~2018.7.313名60名

【3】参考資料について

また、過半数労働組合等がより詳細な情報を求める場合には、部署ごとの派遣社員数や各々の派遣社員の受入れ期間等の情報を提供することが望ましいとされています。

 派遣先の意見聴取の記録は、抵触日から3年間の保存が義務付けられています。参考資料については、保存が義務付けられていませんが、適正に手続きを行っていることを示すものとして意見聴取の記録同様に保存しておく方が良いでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


ユアサイド中宮

解説者

社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員

社会保険労務士 中宮 伸二郎

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。

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