【派遣会社必見】<コンサルタント山内氏が解説>派遣スタッフの確保
渡辺部長
こんにちは。私は、派遣会社の営業部長をやっている渡辺と申します。派遣業界向け経営支援のエキスパートである、コンサルタントの山内さんに色々教えてもらえるってことで、やって来ました!
山内氏
こんにちは。株式会社人材ビジネス経営研究所 代表の山内 栄人です!
私は、請負現場を複数立ち上げ⇒派遣の担当者マネージャー支店長を経験したのち、船井総合研究所に入り、派遣・請負のコンサルタントを8年勤めその後独立。人材ビジネス業界に携わり20年。現在、約140社が参加する高付加価値型アウトソーシング研究会を主催しています。
渡辺部長
今日は、スタッフの確保から安定稼働に向けた取組みについて教えてもらえますか?
山内氏
では、解説していきますね~!

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【解説】現在の派遣業界市場の動き

山内氏にオンラインで取材させていただきました
渡辺部長
現在、コロナ禍において、派遣業界の市場の動きがどのように変わってきているのか教えてください。

山内氏:
派遣業界の直近の流れを考えて行く前に、コロナの前の段階までちょっと遡って思い出していただいた方が良いのかなと思います。

コロナが問題になりだしたのは、2020年の2月3月ぐらいなわけなんですが、その前の年の9月頃っていうのが、実は転換点でした。2019年の9月頃まで4、5年に渡ってとにかく人がいない、人手不足、猫の手も借りたい。だから派遣先から猫の手も借りたい状況なんで、猫の手よりマシだったら派遣してほしいぐらいの話が出て、年齢の制限がぐんぐん上がって、派遣単価がもうそれこそ100円200円単位でぐんぐん上がってっていう時期が続いたんですね。

2019年10月は、消費税増税もありましたし、いろんなものの転換点がやってきて、ガタッと厳しくなり出したわけですね。その後に、コロナが来て追い打ちをかけたという状況なんです。では、今どうなってきているか。

2020年の、10月11月ぐらいから、コロナの影響というのもだいぶ減ってきています。総務省の労働力調査で派遣社員の稼働人員数をずっと取ってるんですけど、直近が2021年4月で、140万人なんですね。140万人ってどういう水準かって言うと、派遣社員の総数としてはそこそこ多い水準なんですよ。
分かりやすく言うと、リーマンショックの後、1年、2年ぐらいずっと低迷して、リーマンショックの2年後ぐらいだから、2011年2010年ぐらいの時って90万人ぐらいまで落ちてるんですよ。

それを考えたら相当戻って来ています。ちなみに1番多かったのが、リーマンショックの直前が派遣社員の総数1番多かった時期で、146万人か147万人かそれぐらいなんですよね。150万人超えないんですよ。

緊急事態が出ていた、直近4月の状況というとしても、140万人。実は、派遣社員の総数はそんな減ってないんですよ。その辺のことを考えると、もし皆さんの会社が「いやいや、うち全然コロナ前の水準に戻って無いよ」っていう、その凹んだ部分はどっかの会社がその分、伸びていると。

ほとんどコロナの影響というような数字ではなくなってきているのが、今の派遣の全体の市場ですね。とは言え、まだコロナの影響がありますので、飲食業界であったり、例えばホテルとか、旅館とか、そういう仕事であったり、イベント関連であったり、この辺の求人は当然戻ってきてないので、その分の失業者が当然出てきたり、もしくは休業者が居るわけなんですが、全体で見たら緊急事態はまだ明けていない今現在、そこまでめちゃめちゃ悪い状況ではないというのが実態だろうという風に思っております。

【解説】雇用形態や媒体からみた求人市場の変化

渡辺部長
雇用形態や媒体からみた求人市場の変化はありますか?

山内氏:
結論から言うと、コロナになったからといって、何かが極端に変わってるかって言うと、現場の感覚からいくとそんなに変わっていないと。

例えば、ご質問でもちょっと出ましたように、常用型の派遣、無期雇用派遣みたいなものが、じゃあ今、急激に増えているかというと、別にコロナ前からかなり相当な数が、そういった求人を打って出ておりましたので、必ずしもそれが、今すごい伸びているということまでは言えないなと言うふうに思いますね。

そして、その求人に関してもですね、例えばオウンドメディアの類、代表的なもので言うと、自社サイトをインディードに連結をしたり、いわゆる求人媒体と言われるような、いろんなメディアに出したりっていうことは、ほぼ大きく変わりがないんです。ただ1点、ここ1年ぐらいの1つのトピックスとして言うと、それ以前からやってる会社は、かなりやられてるんですけども、例えばTwitterとかTikTokだとかYouTubeだとか、こういったSNSを活用した募集、もしくはそのSNSへの広告出稿が、かなり増えてきているような感覚があります。

実際、顧問先でもYouTubeは活用し出してるんですが、それ1本で自社がやっている採用がまかなえるなんてことは、まずありえないんです。ひとつのチャネルとしてチャレンジをしていくということはやっぱり重要です。

もちろん、対象にもよりますよ。Twitterを見るような層で例えばイベント系。イベント今、厳しいですけど、とは言え、短期系の、例えば倉庫とかの仕事はまだまだ足りてないんで(ECが伸びてますからね)。そういった人材を集める上で、Twitterと言うのは1つの有効な手立てになってきております。

テレビよりもYouTubeを見るっていう若者は相当増えてきておりますので、自社でYouTubeチャンネル運営をしている会社、YouTube広告をうまく活用している会社、こういったケースも増えてきております。例えば、ファッションだとか、そういうちょっと若いけど、そっち寄りの人材を取りたいという場合は、インスタをうまく活用したりだとか、今まであまりやっていない募集もどんどんやっていく。

じゃあ、それ1本ですごく採用が取れているかというと、そんなわけじゃないんですよ。問い合わせもめちゃくちゃ多いわけではない。

ただ、そういった取り組みをやっている会社っていうのは感度が高いから、通常の募集も、いろんなことをされているんで、結果論、そういうことやってる会社が採用人数・稼働人数も増えています。

【解説】人材サービス市場への人材流入の変化

渡辺部長
人材サービス市場への人材の流入動きは、どう変わってきていますか

山内氏:
これは派遣だけの話じゃなくて、派遣法の前に労働契約法という、5年無期転換ルールがあって、5年で無期転換をして行きますよ、という中で、派遣会社の中で無期っていうのも当然あります。派遣の場合、抵触日っていうのもあって、一定数、派遣先への直接雇用であったり、もしくは、一般的な企業への転職であったりというのは、確実に進んでおりまして、派遣社員の中のいわゆる正社員に近いエリアの人たちっていうのは、どんどん派遣を出て行っている印象があります。

一方で、コロナ禍で1番影響を受けているのは、実はパートなんですよね。パートで働いていた方々は、仕事がなくなっている。アルバイトも結構減ってますね。こういった方々が派遣に流れてきているのは、実態としてあります。

あともう1つ、日本国内に今住んでいる人で、派遣で動くことができる外国人の方、厳密にはもう日本人と変わらないような状況で住める方、永住権がある方、例えば、日本人の男性と結婚したどこかの国の女性であったりとか、そういった方々が今まで以上に派遣会社に近づいてきている印象はありますので、この辺もちょっと視野にいれていく必要があるのかな。

直接雇用になる方は直接雇用になって、正社員なら正社員になって、今まで派遣をやってなかった層が派遣の世界に入って来てと、結果数字はあまり変わらずとこんな状況かと思いますので、ここも先ほどの話とちょっと繋がりますが、採用のチャネルを広げる採用の層を広げる、こういったことをやっていただくことが必然的に稼働人員に直結する話なのかなと思います。

なので、今伸びている会社って、そういう事もちゃんとやられてるんですよね。

わかりやすい例で行くと、家からなかなかいろんな事情で出れない、親の介護であったり、子供の育児であったり出れないけど、働くことができる働いたほうがいい、所得的に働きたい、そんな方々が在宅で働く、その在宅で働くのを派遣で稼働させる在宅派遣で動かす、こういったことができる会社・できない会社できる会社当然、この1人分の売上・利益が立ってくるわけですから、こういったことが出来るか出来ないかで、業績は当然変わってくる当たり前の話なんですよね。

なので、採用のチャネルを広げる、層を広げるこの辺は、本当に重要なテーマじゃないかなと思います。

採用率・稼働率を上げるためのマインド

渡辺部長
応募に対しての採用率・稼働率を上げるために、どんな工夫が必要でしょうか。

山内氏:
営業と販売というテーマで、結構、私はお話をするんですけど、派遣の営業の方は、営業だって言いつつ営業が出来ていない問題があります。(これは、山内の説という解釈なので、これが一般論とちょっとズレるかもしれませんけど。)

ニーズが確定して売買を成立させることを、私は販売だという風に言っております。例えば、コンビニエンスストアに行ってペットボトルの飲み物を買おうと言うことで、棚から取り出してレジに持ってって、それを買う。もう私の意志が確定していて、最終的に金銭のやり取りをするのが、販売。

それに対して、営業はそうじゃなくて、私がそこまで明確になっていないものを提案をして「なるほど、そういうやり方があるんですね」っていうことで、「わかりました、それを買います。」っていうのが営業だという理解なんです。

なので、派遣のみなさんがやっていることは「販売」なのか「営業」なのかというのは、よく自問をして頂きたい。

こんなオーダーがあったとします。長期でフルタイムで残業もMAX 4時間ある日もあったり、土曜日も結構、休日出勤があって、かつ仕事は多能工化が必要で、覚えることも多くて、かつコミュニケーションもすごい必要で、人あたりが良くて、いい人を派遣してほしいんだけど、派遣料金は、そうだな~出せて1500円。

ちょっと!ちょっと!、て話なわけですよ。


もしその言われてる要素を全部満たそうと思ったら、おそらく1500円という派遣単価では到底無理ですよ。っていう話はもちろん、そこでも言うと思います。

それが、押し切られて、「わかりました。なかなかこの単価では見つからないかもしれませんけど、じゃあ、ちょっと募集はしてみますね」って言って、案の定、ハマらない。

逆もありますね。もう本当に派遣料金がすごい高い。例えば、「総務での経験が5年以上で、社労士の資格を持っていて、みたいな人を派遣してほしい。」いや、そういう人は世の中にはいるかもしれないけど、そんな方が派遣社員として、働いてくれるかというと、うーんみたいなね。

要は何が言いたいかというと、お客さんから言われているオーダーというのは、そもそも論の話、難しいものもあるわけですよ。で、これをそのまま受けてやっても、厳しいわけですね。

例えば、先ほどの例で言うと、1500円でそういう人材を派遣料金でやるのは難しい。これをじゃあ最低でもできたら1850円ぐらいまで上げてもらえませんか、という話で乗ってくれればいいんですけど、そんな交渉って、皆さんもやられてて、乗ってくれないから渋々それで募集をしてるって話なんですよね。

言われたまま募集をしている、だからマッチングがうまくいかない、当たり前の話なんですよ。

じゃあ、ここでやらなきゃいけないことは、まず1500円っていうのはもう必須であるならば、例えばの話、時間を3分割して、シフト対応して扶養範囲で働ける方々を集めてやるっていうことは、まかり通りませんかね?みたいな。

そういった提案をやっぱりしていかないと、ハマらないんですよね。

なので、中々マッチングが進まないという場合は、「販売」をしてないか、ちゃんと「営業」しているかということを社内でも議論して頂けると、実は近道かもしれないなと言うことで、ヒントになればいいなと思ってお話をさせて頂きました。

応募者の属性を見極める

渡辺部長
応募者との向き合い方で、もっと成果が上がる為のコツを教えてください。

派遣で働こうっていう人たちの中にいろんな人種が混ざっているんですよね。

ひとつは、本当は正社員で働きたい・正社員の面接もいっぱい受けた。でも、採用されなくて生活も厳しいから、やむを得ず派遣の世界に来た方。もうひとつは、主婦層の方とかで、旦那さんが働いているから、メインの収入源じゃないんだけど、働ける範囲で働きたい。

こんな風に大きく2つに分かれるんですよ。

当然、最初メールで応募がきたり、電話で応募が来た時点で、そんなことはわからないんで、面接に来られた時点で、確認取ってほしいわけですね。

この方は、どの属性かと。

もう分かって派遣をやろうという方は、その方が何を重視して派遣で働きたいのかを聞けば、もうそれで終了ですよ。一方、本当は正社員になりたいんだけどっていう方は、不本意なんですよ。本当は派遣なんてしたくないんですよ。しょうがなく派遣に来てるわけです。

その方々がどんなことを求めていて、この方が保有している能力は何で、どういうふうにしてあげたら、この方にとって本当に幸せなのかってことを考えてあげると。

「そこまでやれないよ」っていうかもしれませんけど、そんな時間がかかる話でもないんで、ちょっと汲み取るだけで、この方の在籍期間というのは、大きく変わってきます。

しょうがなく派遣なんですよね。こんな方々からしたら、もうどうでもいいんで、皆さんの会社の内勤の担当者のその対応が悪かったり、派遣先でちょっとでも嫌なことがあったら、ソッコー辞めるんですよ。

だから定着が悪い。こんな方々に対して、やっぱりこの方々が求める将来の働き方っていうところに若干でもアプローチして歩み寄って、その希望にちょっとでも近づく話をしてあげると、「こんな対応してくれる派遣会社は他には無いかも」って思ってやっぱり留まる可能性が若干上がるんですよね。

そういった事をして、且つそれはポージングではなくて、本当にその方にとってプラスになることをやってあげたらいいと思うんですよ。「山内さん、そんなこと言ったらもう派遣いつか卒業していなくなるじゃないですか」ってよく言われるんですけど、

皆さんの会社の派遣スタッフの平均在籍日数とか出してみてください。

それが6ヶ月とかに届く会社、作業系で、もうすごい素晴らしいと思いますね。普通は、6ヶ月いかないですね。だいたい、2ヶ月3ヶ月の会社がほとんどです。なので、平均3ヶ月なんだから半年間面倒を見て卒業してたとしても、平均より長く会社には収益をもたらしてくれる方なんですよ。

そういったことも踏まえた上で、放っておいたら辞めてた可能性があるわけですよ。なので、そういう向き合いをたった30分とかっていう時間の中でどんだけやるか。もちろん、登録面接の時間だけじゃなくて、例えば職場見学のタイミングであったり、入社のオリエンテーションのタイミングであったり、入社後のフォローであったり、いろいろ接点は持てるかと思いますので、そういった時間で向き合っていく。

それだけで、本人にとっても有益だし派遣会社にとっても変な退職のリスクが若干減って、もしかしたらその人がすごく望む働き方ができるようになって、その後ずっと続けてくれる人になるかもしれないし、みたいなことを考えると、そのひと手間すごく大事だというふうに思っております。

まとめ

景気の波なんて、コントロールできないですよ。アメリカがどうこうとか、我々がもう触れないようなところで事が起こって行くんで、もうこればっかりはしょうがないんです。我々がっていう、主語で動いていくと、結局、派遣社員は我々が振り回すだけの存在になっちゃう。違うんですよ。採用っていうことは、やっぱりお互いがお互いの関係なんですね。

だから、会社が一方的に強くて、派遣社員が虐げられるっていうことでは、やっぱり関係性がおかしくなる。できるだけ派遣社員達の事を我々がどんだけ尊重して、本人の希望を聞いてあげてやってあげるのか。

そんなのやってられないですよっておっしゃるかもしれませんけど、言い方が悪いかもしれませんけど、これこそが人材ビジネスなんじゃないですか。

だから、その1個1個の手間を惜しまずにやっていただくことが、結果論、近道だと。だってね、ちょっと考えてくださいよ、まだどこかで定着の話もしますけど、入る・辞める、入る・辞める、入る・辞める、我々の日常の業務の大半がその入る・辞めるに振り回されていると。「辞める」がなくなったらどうなりますか。

ほんのちょっとした、手間だけで変わってきます。一緒にそういった風に業界盛り上げて、そして皆さんが正々堂々と儲かって、皆さんの所得を増やし、かつ会社を発展させ、それと同時にそこで働く派遣社員達も望む働き方ができるようになれば、何の問題もないじゃないですか。

そこに向けて一緒に頑張っていけたらいいなと思います。じゃあ、今回はこれぐらいで終わろうかと思います。ありがとうございました。

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人材ビジネス経営コンサルタント 山内 栄人 氏

株式会社人材ビジネス経営研究所 代表取締役
株式会社過去オール善 代表取締役
高付加価値型アウトソーシング研究会 主催
▽全国の派遣会社約140社が正会員として加盟
https://www.jinzai-biz.co.jp/studygroup/studygroup.html

請負現場を複数立ち上げ、派遣の担当者、マネージャー、支店長を経験したうえ船井総合研究所に入り、派遣・請負のコンサルタントを8年勤め、その後独立。派遣業界の地位向上、不本意型の派遣社員を一人でも減らすべく活動中。

現在はYouTubeチャンネルをエイジン名義で毎日更新。派遣の情報も豊富に発信中!
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