【派遣会社必見】<コンサルタント山内氏が解説>派遣スタッフの定着
渡辺部長
こんにちは。私は、派遣会社の営業部長をやっている渡辺と申します。派遣業界向け経営支援のエキスパートである、コンサルタントの山内さんに色々教えてもらえるってことで、やって来ました!
山内氏
こんにちは。株式会社人材ビジネス経営研究所 代表の山内 栄人です!
私は、請負現場を複数立ち上げ⇒派遣の担当者マネージャー支店長を経験したのち、船井総合研究所に入り、派遣・請負のコンサルタントを8年勤めその後独立。人材ビジネス業界に携わり20年。現在、約140社が参加する高付加価値型アウトソーシング研究会を主催しています。
渡辺部長
今日は、伸び悩んでいる派遣会社の特徴と、その打開策を教えてもらえますか?
山内氏
では、解説していきますね~!

▽この記事と同じ内容を動画でも視聴できます。

【解説】そもそも派遣スタッフの定着とは

渡辺部長
「スタッフ定着」ってよく聞く言葉ですが、概念としてはそもそもどういったことを指すのでしょうか。

結構、広い捉え方ができるものですね。派遣っていうのは、短期もあれば長期もありますし、仕事内容も簡単な未経験からの作業、技術者まで、縦横に結構、広いものですから、長期と短期では「定着」の意味合いが全然違ってくると思います。

よく一般的に派遣の世界で定着って言われるのは、やはりどちらかといえば長期の案件で、退職をしないような体制というのが定着とよく言われます。

一方で定着っていう言葉がそのまましっくりこないかもしれませんけど、短期で単発で働いている方ですね。

当然、単発の雇用関係なんで、派遣会社A社B社C社って変わっていく可能性もありますが、同じ会社でリピートしてくれる。こういった意味で、スタッフさんから選んでいただいて、ほかの会社に行かない、派遣で辞めずに働いている期間が長い、そういった意味合いで使われることが多いのかなっていう風に思っております。

【解説】長期や短期単発における定着ポイントとは

渡辺部長
長期や短期単発、それぞれの定着に必要なポイントを教えてください。

山内氏:
定着について、派遣会社の方が一番困ってらっしゃるのは、長期で働きたいって言って採用した方が、途中で辞めてしまう、更新をしてくれない、こういった状況になって、派遣先に頭を下げに行くと言うのが、困った事態だと思います。

代表格は、この長期で働いた方が、いかに辞めないのかっていうことなんですけど、超端的に言うと、本人の希望と派遣先であったり、派遣会社であったりのお仕事の諸々の内容であったり、環境というのが合っていない。

もしくは、合っているんだけども、それは表面的に合ってて、本人の潜在的ニーズに合っていないと。要は何かしらのアンマッチが発生をしていて辞めてしまうってのが多いので、どうやってこのアンマッチを防ぐのか?

そこには面接時であったり、いろんな状況でヒアリングをどんだけしていけるのかっていうことによるんですけど、定着が良い会社と良くない会社を色々見てきて思うことは、

定着が悪い会社は、とにかく突っ込んでなんぼっていう、とにかく稼働率をあげろと、もっと言うと、面接から入社の率をあげなさいっていう会社なんですね。そういう風なことをしていると、どうしてもやっぱり定着が悪い。

ひっくり返せば良いんですよね。そうではなくて、本人の希望をちゃんと聞いてあげて、もしくは定期的に本人の状況の変化とかを聞いて、本人が辞めちゃう前にちゃんと手を打てたら、比較的、変な辞め方する方は減っていくわけでして、この辺がすごく重要と。 短期単発の方に関しては、リピートしてもらうためにはですね、例えば、お給料の仕組みであったりとか働きやすさであったりとか、あと安全面であったりとか、そういった、あってはいけないんですけど、未だにペナルティーだとか言ってね、あれ、ダメなんですけど、そういったことをやってる会社とか、やっぱりリピートしないってことになってくるでしょうから、そういった意味では、働きやすさというところが、短期単発系には重要なのかなと。

あと、専門的な話とか、技術系の仕事をされている方に関しては、単純に派遣先が合ってるのか、合ってないのかというところがすごくウェイトが、大きいんですね。

派遣元と言うより、派遣先のお仕事の内容であったり、賃金そのものっていうところがすごく重要になってくるのかなと思います。

<実践>定着をひとつのKPIとする

渡辺部長
定着に向けて具体的にはどのようなことに取り組めば良いのでしょうか。

会社全体で、定着を上げようというのをひとつのKPIとして、しっかり捉えていただいているのか、いただいてないのかというところが、まずパカンと分かれる分岐だと思うんですよ。

わかりやすい例で言うと、皆さんの会社の、例えば長期の場合、(長期が本当に一丁目一番地と言いますか)一番ニーズのあるところだと思います。

長期の定着をあげたいと思ってらっしゃる会社で、自社の派遣社員さんの平均在籍日数が何日なのかとかってわかりますか?っていうことなんです。入社から退職まで平均何日居るかっていうこの期間。

例えばこれ、ちゃんと取ってらっしゃる会社であれば、1つの指標として目標も立てられますし、管理もできるわけなんですけど、こういった指標があるのかないのかっていうところですね。あと退職率ですね、在籍人数から何人ぐらいが毎月辞めていくかとか、こういった指標をちゃんと持ってるか持ってないかということによって、変わってくるというのが、まず一つ目の、大きな話です。

会社として定着を上げようっていうことを考えていくとですね、本当に採用から考え直さなきゃいけない部分もありますし、一番にはですね、さきほどちょろっとお話したように突っ込んでなんぼっていう会社として行け行けで、とにかくどっか突っ込め!!みたいなね、派遣社員をあたかも物のように扱うような会社っていうところから脱却していただかなきゃいけないんですよ。

担当者ひとりが、それをやっても、なかなか上手くいきません。やはり、派遣スタッフ一人ひとりには、歩んできた道があり、キャリアがあり、年齢があり、いろんな背景があって、今、目の前にいるっていうことをちゃんと捉えた上で、この方をどの派遣先に行って、どの仕事をしてもらったら本人にとって一番都合が良いのか?本人のこの先のキャリアにつながるのか、みたいなことまで考えていくんです。

たまたま目の前で面接をしている担当者、もしくはコーディネーターがここ入れたいって思ってるところに入れるのが正しい訳じゃなくて、本人の希望を聞くと、いや本当はこっちだなって言うところが見えてくるはずなんです。

そこにちゃんと入れるようにしてあげようと思ったら、コーディネーターひとり、担当ひとり、営業ひとりがいくら頑張ってもなかなか上手くいきませんので、会社ぐるみで定着を上げる、稼働率そのものを極端に上げるっていうことをKPIにするんじゃなくて、定着を上げる方でKPIをとってやっていくと。

当然、ベクトルが全然違うので、中途半端にやってもどっちもうまいこといきませんし、そんなことすると、きっと数字が落ちちゃいます。

もう、やるんだったらちゃんと定着に振ってください、ということです。そもそもの入社の数も減っちゃうかもしれないですし、そんなことしてると、なかなかうまくマッチングが押し込めないんでね。

ですけど、定着が上がってて、どっかのタイミングで分岐を超えればですね、入社の数と、退職の数で、入社の数が上回って、結局退職が減って、担当者としての業務はすごい楽になって、数字が上がっていくみたいなことになる可能性がすごくあります。

なので、会社として定着を上げるってことをKPIに取って、動いていただけるとすごく良いんじゃないのかなと。その上で「方針だよ」ってことで、今まで行け行けで突っ込み放題だった担当者とかにも、考え方を共有していくってことが、重要になってくるのかなっていう気がしております。

<実践>コロナ禍でのコミュニケーション

渡辺部長
コロナで直接会うことが難しい現在ですが、派遣先やスタッフとのコミュニケーションをうまくやる方法はありますか。

山内氏:
対面が一番やっぱり良いのは間違いないんですよ。直接お会いをして、表情が見れて、動きが見れて、言動を聞いたりってのが一番良いんですけど、なかなかそれも難しいって言うこともありえるわけです。そんな場合は、極論、LINEひとつでもメールひとつでも全然コミュニケーションはとれます。

最近だったら、それこそZoomをちょろっと繋いで、顔を見ながら遠隔でもお話することも可能ですし、やり方は本当に様々ですね。オンラインツールもですね、今までは、そういった特殊なそういう仕事をしている方しか使われなかったのが、コロナになってですね、家族や親戚、友達であったり、そういったオンラインツールを使ってやり取りをする方も増えてきておりますので、比較的抵抗が減ってきております。

派遣スタッフ全員に同じツールを使う、というわけにはいかないんだと思いますけど、人に合わせてそういったツールをうまく使っていきましょう。会えないからしょうがないね、ではなくて、会えないけど、どうやってコミュニケーションをとるかということを考えていただいたら、と思います。

それこそ、昔ながらの電話だって充分コミュニケーション取れるわけですから、直接会えないからと言って放置して良いということにはなりませんので、その辺うまくやっていただいたら良いんじゃないかなと思います。

まとめ

山内氏:
定着を上げるということはひと言でいってしまえば、派遣スタッフ、派遣社員の方から見てですね、「その派遣会社が良い」と言ってもらえる状況をどう作るのかっていうことが、一番わかりやすいわけですよ。

なので、派遣会社側が派遣会社視点でやって行くと言うよりかは、派遣スタッフ側に目線をもうちょっと合わせてあげることで、他社とは違う差別化にもなっていきますし、派遣社員から選ばれる派遣会社になっていけるのかなと。

そして、定着が上がって、そういう状況が作られると、間違いなく良い事例として派遣社員の方が、ほかの会社で働いているお友達の派遣社員をご紹介してくれるようになるケースが本当に多いです。

それだけ、うちで働くと、良いよって言ってくれるようになるわけですよね。
なので、採用コストも下がっていきますし、定着がそもそも高いってことはですね、入れ替えの人員も減ってくるわけですよ。

どこにコスト手間をかけるかっていう風に考えて頂いたら良いと思うんですよね。採用広告費用にジャブジャブお金を使っているコストをいくらかを定着に回すだけで、実は会社の回転っていうのは、大きく変わってきます。

なので、派遣スタッフから選ばれる、派遣会社にどうやってなって行くかってことは、十二分に議論する価値がありますし、会社としての利益構造を大きく変えてくる話になりますんで、良いことやって儲かりませんじゃなくて、良いことをやって、派遣スタッフからも支持をされるし、内勤社員として働く担当者とかも退職が減るとめちゃめちゃ楽になるんですよ。

当たり前の話なんですけど、退職する度にですね、派遣先に謝りに行ったりいろんなことやって入れ替えの人員を探してで、やっとこさ入ったとしても、実はイチ減ってイチプラスでプラマイゼロなんです。

なんだったら、退職してから次の稼働が見つかるまでの間の日数分だけ、売り上げが下がってるんですよ。そんなことを考えたら、もっと真剣に考えても良いテーマだと思いますので、ぜひ派遣スタッフから選ばれる会社、定着が良い会社ってのを目指して頂いたら、派遣社員だけじゃなくて、実は内勤社員もハッピーだし、経営的にもですね、ハッピーになる。そういったすごくお得な要素なんでぜひ取り組んでいただけたら良いなという風に思っております。

じゃあ、今回はこれぐらいで終わろうかと思います。
ありがとうございました。

質問を募集中

最下部のコメント欄にて、派遣会社の皆さまからの質問を募集しております!

日々の業務でギモンに思うことや、アドバイスが欲しいこと、中長期的な事業戦略まで、どんなことでもぜひお気軽にご入力ください。募集した質問の中から、いくつかに対して、山内 栄人 氏より動画&記事にて回答いたします。


人材ビジネス経営コンサルタント 山内 栄人 氏

株式会社人材ビジネス経営研究所 代表取締役
株式会社過去オール善 代表取締役
高付加価値型アウトソーシング研究会 主催
▽全国の派遣会社約140社が正会員として加盟
https://www.jinzai-biz.co.jp/studygroup/studygroup.html

請負現場を複数立ち上げ、派遣の担当者、マネージャー、支店長を経験したうえ船井総合研究所に入り、派遣・請負のコンサルタントを8年勤め、その後独立。派遣業界の地位向上、不本意型の派遣社員を一人でも減らすべく活動中。

現在はYouTubeチャンネルをエイジン名義で毎日更新。派遣の情報も豊富に発信中!
▽『リアルゲームチャンネル(リアルをゲームのように攻略するチャンネル)』
https://www.youtube.com/channel/UCOR3wQK7wI3qfTCPrf1SqCQ

コメントを残す