こんにちは、社会保険労務士の中宮 伸二郎です。
2024年8月27日、2025年度の一般賃金が公表されました。
制度開始以来、一般賃金の上昇傾向は変わりませんが、前払い退職金の割合などの指標に大きな動きはありませんでした。
今回は、2025年度の一般賃金について解説します。
今回注意しなければならないことは何ですか?
分類の改定にあわせてこれまでの職種区分を見直す必要があります。
※この記事は 2024年8月30日時点の情報を元に解説しています。
目次
2025年度一般賃金の概要
職業安定業務統計の全職業計は、1,248円(+30円)、賃金構造基本統計調査の産業計は、1,320円(+44円)とであり、どちらも上昇しています。近年の物価高、人手不足に起因する賃金上昇が反映された結果となっています。
ただし、すべての職種で上昇したものではありません。賃金構造基本統計調査144職種のうち44職種は前年より下がっています。
例えば、電話応接事務員は1,302円から1,265円になっています。
賃金構造基本統計調査は、標準誤差率5%以内とされています。
今回たまたま下がっていますが、電話応接事務員の実際の給与水準が下がったと断定することはできません。また、来年高騰する可能性もあります。
◎ 賞与指数:変更なし 2%
※一般賃金に含まれているため、労使協定作成時に特段考慮する必要はありません。
◎ 能力経験調整指数:変更あり
◎ 一般通勤手当:変更あり 73円(2024年度72円)
※通勤手当を時給に含める場合の加算額
◎ 前払退職金の割合 :変更なし 5%
◎ 退職金制度に関する統計:就労条件総合調査、賃金事情等総合調査を改定
※中小企業の賃金・退職金事情(東京都)の改定はありません。
職業安定業務統計の職業分類改定
職業分類の改定は2023年度から行われていましたが、一般賃金への適用は来年度からとなります。
次年度の労使協定を締結する際は、新しい分類に基づいて別表を作成しなければなりません。
レジ係の職業分類を見るときは以下の例のような位置づけになります。
改訂前(大分類・中分類・小分類・細分類)
改訂後(大分類・中分類・小分類)
職業分類の改訂に伴って、注意すること
職業安定業務統計を使用して労使協定を締結している場合、業務の実態に応じて新たな職業分類に当てはめる必要があります。
ハローワークインターネットサービスでは、新しい職業分類の具体的な例を示しています。
判断に迷う際は、こちらを参照してください。
解説者
社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員
社会保険労務士 中宮 伸二郎
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。