こんにちは。社会保険労務士の中宮 伸二郎です。
一般賃金の改定は毎年4月1日から適用されるため、労使協定も4月1日を起算日として締結することになります。一方、派遣契約は労使協定の更新とは無関係に期間が設定されているため、4月1日をまたぐ労働者派遣契約、労働契約の締結はどうなるのか?協定対象派遣労働者への明示の詳細について知りたい、などの質問を多くいただきました。
今回は労使協定の更新と労働契約の関係を解説します。
※この記事は 2021年5月11日時点の情報を元に解説しています。
目次
諸手続と労使協定の関係
①労働者派遣契約
派遣社員を労使協定対象者に限定するか否かを記載しますが、協定の有効期間は記載しません。
(労使協定の有効期間と無関係に労働者派遣契約を締結することは可能)
②労働契約締結時の明示
協定対象者であるか否か、協定対象者である場合、労使協定有効期間の終期を明示します。
③派遣就業開始時の明示
協定対象者であるか否か、協定対象者である場合、労使協定有効期間の終期を明示します。
④マージン率などの情報提供
労使協定を締結しているか否か、締結している場合は、協定対象者の範囲、労使協定有効期間の終期に関する情報を提供します。毎年4月に有効期間の終期が変更されるため、情報提供内容を変更しなければなりません。
4月1日をまたぐ場合
次年度の労使協定が未締結であっても契約を締結することは可能です。
4月1日をまたぐ場合であっても、労働者派遣契約の締結に支障はありません。4月1日以降、派遣料金を変更する必要がある場合は、4月1日以降の料金も記載するとよいと思います。労働契約締結時、派遣就業開始時の明示は、その時点で有効な労使協定の終期を記載してください。なお、締結後に次年度の労使協定明示をやり直す必要はありませんが、新しい労使協定を以下の4種類のいずれかの方で周知しなければなりません。
① 書面の交付
② 労働者が希望した場合、ファクシミリ、電子メール等の送信
③ サーバー等に保存し、労働者が常時確認できるようにする(派遣労働者にログイン・パスワードを発行し、イントラネット等で常時確認できる方法等)
④ 常時派遣元の事業所に掲示または備え付ける(労使協定の概要について、①又は②の方法によりあわせて周知する場合に限る)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
解説者
社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員
社会保険労務士 中宮 伸二郎
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。