「派遣事業報告書」の作成解説⑥ -第9面-

派遣会社の皆様へ

厚生労働省指定派遣元責任者講習講師、法務と実務に強い派遣特化型の
社会保険労務士、みなとみらい人事コンサルティング代表の泉文美(いずみ あやみ)と申します。

今回もよろしくお願いいたします。

いよいよ「派遣事業報告書」の最後、第9面の作成方法について解説します。

※この記事は 2026年5月21日時点の情報を元に解説しています。

前回の第7,8面に引き続き、「派遣事業報告書」第9面の作成方法について解説します。
第7面以降は、提出する年(このコラム公開時なら2026年)の2026年6月1日時点の状況報告を書いていきます。これは決算年度とは関係なく、すべての派遣会社に共通です。

ここは決算年度とは関係ありません。
第1面から第6面までのように報告対象期間で考えるのではなく、6月1日時点の情報を入力すると覚えておきましょう。

⑤ 日雇派遣労働者の実人数

6月1日時点での人数を書きます。6月1日がちょうど入退社日の人は数に含みます。

第2面の「(1)派遣労働者数等雇用実績(実人数)(報告対象期間末日現在)⑤日雇派遣労働者」数とは異なるので注意しましょう。

報告期間については、第1面のコラムを参照してくださいね。

たとえば9月末締め決算の会社で、2026年6月に提出する報告書の場合、報告対象期間は
2024年10月1日~2025年9月30日です。

この場合、

  • 第2面の日雇派遣労働者数:2025年9月30日時点の人数
  • 第7面の日雇派遣労働者数:2026年6月1日時点の人数

となります。
数える基準日がまったく違いますので、基本的には第2面と第7面で違う数字が入ることになります。

日雇派遣労働者がいない場合

なお、日雇派遣労働者がいないときは無記入ではなく「0」を記入するようにしましょう
無記入だと記入漏れなのか0なのかわからないので労働局から問い合わせが来ることがあります。

日雇派遣労働者とは、
文字通り日雇いかあるいは30日以内で終了する有期雇用契約(更新無)者などが該当します。
日雇派遣は原則禁止ですが、例外に該当する場合は認められますので、例外を使って日雇派遣を行っている派遣会社さんは忘れずに入力しましょう。

日雇派遣については別の機会に詳しく説明します。

⑥ 特定製造業務従事者である日雇派遣労働者の実人数

「特定製造業務」とは、簡単に言えば製造業務に派遣していればすべてが対象です。
よって日雇派遣労働者を製造業務に派遣している場合は、その派遣労働者数を入れましょう。

労使協定対象者についてはこれまでと同様です。
よって、各合計数は必ず⑤≧⑥となるはずです。

⑦ 日雇派遣労働者の業務別実人数(⑤の内数)

ここでは、日雇派遣労働者を職種ごとに書いていきます。

第5面にも日雇派遣に関する欄がありましたが、第5面は報告対象期間中の実績を記入するものです。
一方、第9面は6月1日時点の状況を記入します。
そのため、第5面で数字が入った職種と、第9面で数字が入る職種が、必ずしも同じになるとは限りません。

ここでも、それぞれ労使協定対象者の人数を記入します。
労使協定方式のみの会社であれば、同じ人数を転記する形になるでしょう。

最後に、全体の各合計数が⑤と同じになっているか確認しましょう。
一致していない場合は、どこかで職種ごとの振り分けや人数のカウントを間違えている可能性があります。

⑧ 日雇派遣労働者のうち期間制限の対象外となる業務における派遣労働者の実人数(⑤の内数)

該当する日雇派遣労働者が6月1日時点で在籍している場合はそれぞれの人数を入れます。

特に高齢者については、6月1日時点で60歳に達しているかどうかで判断します。
誕生日が近い方は注意しましょう。

有期プロジェクト業務や日数限定業務については、通常の派遣会社では該当しないことも多いですが、該当する場合は記入が必要です。
これらの詳細についても、また別の機会に解説します。

この欄はいない場合は、計の箇所にすべて「0」を入れましょう。
空欄のままだと、記入漏れかどうかが判断できず、労働局から問い合わせが来ることがあります。

ここも⑤の内数ですので、各合計数は必ず

⑤ ≧ ⑧

となります。矛盾がないように確認してください。

なお、日雇派遣労働者がいない会社さんは、⑤にきちんと「0」を記入しておけば、
⑥⑦⑧もすべて「0」になります。

その場合、これらの欄は「0」でも空欄でもどちらでも良く、労働局から問い合わせはこないでしょう。

2 過去1年以内に労働者派遣されたことのある登録者(雇用されている者を含む。)の数

登録制度があり、さらに6月1日現在に登録者数がいる場合はその数を記入しましょう。
これも第2面の登録者数とは違う数字が入るはずです。

第2面と同様に、

  • 登録制度はあるが、今回はたまたま登録者がいない
     → 「0」を記入
  • 登録制度自体がない
     → 無記入

となります。

これまでにも何度か説明してきましたが、実数が入らない場合でも、
「0」を書くべき欄と、無記入にすべき欄があります。
ここも間違えやすいので注意しましょう。

3 雇用保険及び社会保険の派遣労働者への適用状況

ここまでの第9面は、日雇派遣労働者に関する項目が中心でした。
しかし、この「3」では、再び日雇派遣労働者を除く派遣労働者について記入します。

第7面①で記入した6月1日派遣労働者数の内、雇用保険健康保険厚生年金保険加入者をそれぞれ記載しましょう。

全員フルタイムで2カ月以上雇用継続しているなら、第7面①で記入した派遣労働者合計数と通常、すべて一致します。

法律で定められた加入すべき派遣労働者は必ず各種保険に加入しなければなりません。

6月1日時点でちょうど入社するなどして、実際の資格取得手続きがまだ終わっていない場合でも、法律的に加入すべき人は必ず計上しましょう。

保険加入者数が一致しない場合

第7面①の6月1日時点の派遣労働者数と、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入者数が一致しない場合があります。
つまり、各保険に加入していない派遣労働者がいる場合です。

この場合、別添の
「6月1日における派遣労働者の雇用保険等の被保険者資格取得の状況」等の様式を作成し、その理由についての提出を求められることがあります。

ただし、これは派遣報告書と異なり、法定様式ではありません。
各労働局で任意の様式が用意されている場合もありますし、提出を求めるかどうかも労働局によって異なります。必要に応じて確認しておきましょう。

重要なのは、この別添に書かれている理由に当てはまらない人は、必ず加入する必要があるということです。

「その他」の理由を書くときの注意点

なお、別添には雇用保険にも健康保険・厚生年金保険にも「その他」を選び、理由を書く欄があります。

ここに間違っても

「本人が入りたくないと言っているから」
「うちの会社は、派遣労働者は加入しないから」
「試用期間中だから」

などと、書かないでくださいね!
それは会社のあわよくばの「希望」であって、法定で認められた「理由」ではありません。

では、なぜ「その他」という欄があるのかというと、たとえば健康保険であれば
75歳以上で後期高齢者医療制度に加入しているため非加入
というケースがあります。

また、厚生年金保険であれば70歳以上のため非加入
というケースがあります。
これらは、法律上きちんと説明できる「その他」の理由です。

該当する場合はそのように書きましょう。

雇用保険については、私の社労士としての知識を総動員しましたが別添①~③に予め書かれている理由以外に「その他」は思いつきませんでした。
(よっぽど特殊な事情があるかもしれない、ということで設けられた欄であると推測されます。)

よって原則、雇用保険は別添①~③に書かれている理由が無ければ全員加入、と覚えておきましょう!

ついに派遣報告書の完成

これで第9面(+必要があれば別添)の完成。そして派遣報告書全体も完成です!

これで6月中に提出できますね!
提出の注意事項は、ちょうど1年前の第1回目コラムに書いてあります。

提出後の労働局対応や控えの保管等についての注意事項は第2回目コラムに書いてありますので、参照してくださいね。

控えが戻ってから作成するマージン率等の情報提供については第3回目コラムですよ!

これで昨年から少しずつ、丁寧に解説してきた派遣事業報告書関連のお話が、ようやく終了しましたね。
お疲れさまでした!これから毎年、派遣報告書作成の時期になったら、これらのコラムを参照して、お役立てくださいね!

次回からはまた別の派遣関係の書類について解説していきますよ~! お楽しみに!

さいごに

当事務所では派遣事業報告書に関する相談もいつでも受け付けています。

何かありましたら、まずは下記、当事務所HPのお問い合わせフォームから質問してくださいね。初回相談は無料です。


解説者

みなとみらい人事コンサルティング 代表
泉 文美(いずみ あやみ)

横浜生まれ。2005年東京大学卒業。
ハローワーク、労働基準監督署、労働局、厚生労働省勤務経験有。
2012年社会保険労務士事務所開業。
開業当初より厚生労働省指定「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」講師を務める。派遣・紹介関係の顧問先多数。講演・著述の依頼もこなす。
法務と実務両面に強い、派遣・紹介特化型社労士として、役所での勤務経験も活かし、「役所対応に強い社労士」として定評がある。

https://mmjinji.com/