
派遣会社の皆様へ
厚生労働省指定派遣元責任者講習講師、法務と実務に強い派遣特化型の
社会保険労務士、みなとみらい人事コンサルティング代表の泉文美(いずみ あやみ)と申します。
今回もよろしくお願いいたします。
前回の最後に予告した通り、6月に提出方法等について説明した「派遣事業報告書」に戻り、その作成方法について解説します。
派遣会社さんは毎年「派遣事業報告書」という報告書も作成し、6月に提出しなければなりません。
提出時や提出後、戻ってきた控えの保管方法は、6月と7月のコラムで説明しましたね。
※この記事は 2025年12月22日時点の情報を元に解説しています。
目次
なぜ1月から解説するの?
「6月提出の報告書なのに、1月に書き方を解説するの?」
そう思われた方もいるかもしれません。
実は、派遣事業報告書はページ数がとても多いのです。
添付の見本PDFを見てみましょう。
派遣事業報告書は、多い場合には合計12枚にもなります。
第1~9面まであるうえに、会社によっては第6面を3枚作成が必要になることもあります。
そのため、1月から少しずつ全ページの書き方を詳しく解説していけば、ちょうど6月の提出時期に間に合うというわけです。
「派遣事業報告書」第1面
それでは、早速「派遣事業報告書」第1面を見てみましょう。
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① 右上の記載欄について

右上には、次の3つの項目があります。
- 許可番号
- 事業所枝番号
- 許可年月日
これらはすべて派遣許可証に記載されている内容です。
必ず許可証を確認し、記載どおりに転記しましょう。
② 事業所単位で作成する点に注意
派遣事業報告書は事業所単位で作成します。
そのため、本社以外に支社でも派遣許可を受けている場合は、すべての事業所分を作成する必要があります。
この場合、
- 「許可番号」「許可年月日」:全社共通
- 「事業所枝番号」:事業所ごとに異なる
という点に注意してください。
事業所枝番号は、本店・支店ごとに異なる番号が付与されていますので、各事業所の派遣許可証を確認して記入しましょう。
なお、細かい点ですが、「本社」の枝番号が「0」「1」と、労働局によって異なることがあるようです。
「提出者」欄の書き方

次に提出者欄です。
ここには「会社名」「代表取締役の氏名」を記載します。
本社・支社がある場合でも、必ず本社の会社名と代表取締役名を記入します。
支社名や支社長名ではありませんので、間違えないよう注意しましょう。
項目1~3について

項目1〜3は、派遣許可証を確認しながら、
- 本社の住所
- 会社名
- 代表取締役名
を記入します。
電話番号の注意点
項目2の電話番号は、直近の派遣許可(または更新)申請書に記載した本社の電話番号を記入しましょう。
分からなければ、「人材サービス総合サイト」で自社を検索してください。
人材サービス総合サイトは、10月公開コラムで紹介しましたね。
「人材サービス総合サイト」
https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb/
人材サービス総合サイトで電話番号を確認する方法
それでは、具体的な検索方法を見ていきましょう。
トップページの「掲載の申込を行う場合」から、左端の「労働者派遣事業」をクリックします。
「人材サービス総合サイト」
https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb/
そうすると入力項目が表示されるので、社名や都道府県名などを入れて検索してください。
検索結果に自社情報が表示されたら、そこに掲載されている電話番号を報告書へ記入します。
なお、電話番号を複数持っている会社の場合は、どの番号を記入すべきか(本社代表番号なのか、派遣事業担当の番号なのか等)を、必ず社内で確認しておきましょう。
4・5:事業所の情報を書く(本社と支社がある場合は特に注意)

続いて、派遣事業報告書の 4・5 です。ここは 「事業所」情報 を記載します。
- 本社以外に支社がある場合
- 1~3:本社情報
- 4・5:支社(事業所)の情報
という書き分けになります。
この部分も、必ず派遣許可証を確認し、「事業所」として記載されている情報をそのまま転記しましょう。
本社しか派遣許可を受けていない会社さんでも、派遣許可証の記載が本社と事業所で異なっていることがありますので注意が必要です。
- 本社:登記上の住所表記(番地まで)
- 事業所:ビル名・号室まで記載
このように異なっているケースがあります。細部まで注意が必要です。
たとえば、次のような表記差も含めて、許可証どおりに丸写ししてください。
- 番地:漢数字(五丁目四番三号)か、算用数字(5-4-3)か
- ビル:階数の表記(5階 / 5F など)
- 号室:表記(五〇三号 / 503号室 など)
少しでも違うと、労働局で細かく修正指示が入ることがよくあります。
6:大企業か中小企業か

6は「大企業/中小企業」の区分です。これは曖昧に決めるものではなく、法律上の定義に基づき、業種・資本金・従業員数で判断します。
自社がどちらに該当するか分からない場合は、中小企業庁の定義を確認しましょう。
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
7:産業分類の名称と産業分類番号

7の「産業分類(名称・番号)」は、直近の派遣許可(更新)時に提出した申請書と同じ内容で記載します。
「労働者派遣業」が本業であれば、そのまま記載します。
一方、見本のように本業(例:受託開発ソフトウェア業)があり、その一環として派遣(例:ソフトウェア開発者の派遣)も行っている場合は、メインとなる事業の産業分類を書くことになります。
8:決算期(報告対象期間の取り違えに注意)

8は決算期。決算をいつにするかは会社ごとに異なり、9月末・12月末などさまざまですよね。
ここで特に注意したいのが、提出年(例:2026年6月)と、対象となる決算期が一致するかです。
たとえば9月末決算の場合、2026年6月に提出する報告書の対象となる決算期は、
-
2024年10月1日〜2025年9月30日
となります。
もし、2025年10月1日~2026年9月30日にしてしまったら、2026年6月の提出時にはまだ期の途中だから、報告できないことになりますよ。
このように、2026年提出なのに「2024年10月1日から2025年9月30日まで」と2年以上前の年が出てくることがあります。
自社の決算期と報告時期を考えて記入しましょう。
9:職業紹介の許可番号(ある場合のみ)

9は職業紹介の許可を受けている場合はその許可番号を書きましょう。
10:親会社の情報(許可番号の確認方法)

10は親会社がある場合はその情報を、親会社が職業紹介の許可を受けている場合はその許可番号を書きましょう。
親会社の許可番号も先に説明した「人材サービス総合サイト」で調べることができます。
トップページの「掲載の申込を行う場合」から、左端から2番目の 「職業紹介事業」 をクリックして検索してください。
社名や都道府県名で入れて検索すると、親会社の情報が出てきます。
出てこなければ親会社は許可を取っていないことになります。
11:請負事業の有無(構内請負も確認)

そして11。請負事業の有無です。
見本のように「受託開発ソフトウェア業」であれば、ソフトウェア開発を請け負っているため、当然 「有」 になります。
「構内請負」は見本にもあるとおり、主に製造業で発注者の構内に場所を借りて何らかの作業を請け負うことを言います。
発注者工場内に梱包のための場所を作ってもらって、工場で製造された製品を梱包する業務を請け負う、というのが当てはまります。
これは見本のソフトウェア開発には当てはまりませんから「無」になります。
なお、請負は「偽装請負」という言葉も有り、派遣との違いを守って正しく運用しなければなりません。
この点は大きなテーマになりますので、今後のコラムで詳しく解説していきます。
12:備考欄(労働局問い合わせ用の情報)

最後に12の備考欄です。
ここには、労働局から問い合わせがあった際のために、担当者名と電話番号を記入しましょう。
また、労働局によっては、備考欄に
「派遣の同一労働同一賃金の労使協定の有無について」も記載するよう指示される場合があります。
(この「派遣の同一労働同一賃金の労使協定」については、今後のコラムで解説します。)
詳細は、6月のコラムでも触れたとおり、労働局から送られてくる派遣報告書の提出案内に従いましょう。
これで、派遣事業報告書 第1面は完成です!
さいごに
次回は「派遣事業報告書」第2面に進み、各項目の作成方法を解説していきます。
記入箇所が多い報告書ですので、6月の提出に向けて丁寧に進めていきます。お楽しみに!
当事務所では派遣事業報告書に関する相談もいつでも受け付けています。
何かありましたら、まずは下記、当事務所HPのお問い合わせフォームから質問してくださいね。
初回相談は無料です。

解説者
みなとみらい人事コンサルティング 代表
泉 文美(いずみ あやみ)
横浜生まれ。2005年東京大学卒業。
ハローワーク、労働基準監督署、労働局、厚生労働省勤務経験有。
2012年社会保険労務士事務所開業。
開業当初より厚生労働省指定「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」講師を務める。派遣・紹介関係の顧問先多数。講演・著述の依頼もこなす。
法務と実務両面に強い、派遣・紹介特化型社労士として、役所での勤務経験も活かし、「役所対応に強い社労士」として定評がある。



労働局に提出する「関係派遣先割合報告書」を作成






