【301人以上の企業に義務化】男女の賃金差異の公表

こんにちは。社会保険労務士の中宮 伸二郎です。
2022年7月から、301人以上の企業に男女の賃金差異を公表が義務付けられました

決算から概ね3ヶ月以内に前年度の実績を公表することが求められているため、
3月決算の企業は初めての公表となります。
今回は、「男女賃金差異の公表」に関する解説です。

なびー
男女賃金差異の公表って何を公表すればいいんですか?
中宮先生
正規労働者、非正規労働者、全ての労働者の3区分で男女の賃金差の率を自社のホームページ等で公表しなければなりません。
301人以上の企業に義務付けられています。

※この記事は 2023年3月31日時点の情報を元に解説しています。

女性活躍推進法の一般事業主行動計画とは

なびー
派遣会社の男女賃金差の公表って何の意味があるの?
中宮先生
公表することで、企業が賃金差を意識するようになり、自主的に改善に取り組むことを期待しています。

男女賃金差異の公表は、女性活躍法推進法で定められた義務です。単に賃金の差異を公表するだけではなく、その前提として一般事業主行動計画の策定・公表があります。

女性活躍推進法の一般事業主行動計画とは、企業が自主的に女性従業員の仕事・育児を両立するための取り組みです。

引用:一般事業主行動計画の策定・届出等について

一般事業主行動計画(以下「行動計画」)とは、次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。


民間企業の自主的な取り組みにより雇用環境を整備することを促すため、常時雇用する労働者数101人以上の企業に対し、一般事業主行動計画の作成、公表を義務付けています。

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/index.html
厚生労働省(参照 2023-04-03)

常時雇用する労働者数が101人以上の企業は、2~5年の計画期間で一般事業主行動計画を策定し、インターネットを利用して公表、都道府県労働局へ届出ます。

一般事業主行動計画の公表とは別に、企業規模に応じて実績の情報を公表しなければなりません。常時雇用する労働者数101人以上の規模で1項目、301人以上の規模で「男女の賃金差異」を含めた3項目を公表します。

公表する項目について

なびー
公表項目って一般事業主行動計画で定めた目標から選択するの?
中宮先生
一般事業主行動計画で定めた目標以外の項目を選択することができます。
目標に選択した改善余地のある項目ではなく、すでに取り組みの進んでいる項目を選んで公表することができます。

常時雇用する労働者数301人以上の企業の公表項目は、男女の賃金差異の公表に加え、
①女性労働者の職業生活に関する機会の提供」と「②職業生活と家庭生活の両立に資する雇用環境整備」の2分野から、各1項目以上の数値目標を選び、設定します。

101~300人の企業の公表項目は、2分野から1項目以上の数値目標を設定します。

常時雇用する労働者とは

なびー
常時雇用する労働者ってどんな人?
中宮先生
正社員、派遣社員、アルバイトなど雇用区分にかかわらず、以下の労働者のことです。
  • 無期雇用労働者
  • 有期雇用で1年以上雇用されている労働者
  • 有期雇用で1年以上雇用されることが見込まれる労働者

男女賃金差異の計算

賃金差異は、「正規労働者」「非正規労働者」「全ての労働者」の3区分で集計、公表しなければなりません。
計算方法は、区分ごとに「女性の1人当たり平均年間賃金÷男性の1人当たり平均年間賃金」により算出、小数点第2位を四捨五入します。

計算方法について詳細な規定はなく、対外的に説明責任を果たせるよう適切な算出方法とすることが求められています。

計算方法

出典:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000970984.pdf
2022年7月8日掲載 女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表について
P11 (1) 算出の手順を参考に作成しています。

男女賃金差異の情報公開

一般事業主行動計画の項目は、企業規模に応じて実績の公表義務があります。

公表の方法は、インターネットを利用し、自社のホームページに掲載、もしくは厚労省の運営する女性活躍推進企業データベースに掲載することとされています。

ホームページ掲載のイメージ
なびー
男女賃金差異だけじゃなくて、他にも公表しなきゃいけないことがあるんですね。
中宮先生
そうなんです。はじめに一般事業主行動計画があって、その結果を公表する制度の一部に男女賃金差異の公表があるんです。

一般事業主行動計画を公表する際の注意事項

「男女の賃金差異」は、事業年度終了から概ね3ヶ月以内に前年度の実績を公表します。
3月決算の企業は、2023年6月頃が初回の公表となります。公表に際して、「男女の賃金の差異」の数値だけでは伝えきれない自社の実情を説明するため、より詳細な情報や補足的な情報を公表することも可能とされています。

例えば、派遣社員の賃金の男女差があることについて、男女で応募する職種の傾向の違いが原因であることを説明することが考えられます。


ユアサイド中宮

解説者

社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員

社会保険労務士 中宮 伸二郎

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。

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