10月以降の社会保険料免除

こんにちは。社会保険労務士の中宮 伸二郎です。

2022年10月1日施行法改正により新設される「出生時育児休業」は、
男性の育児休業取得を促進するために新設される制度です。
子どもの出生後8週間以内に4週間(28日間)までの間に取得することができます。

しかしながら、今までの女性を対象とした長期の育児休業と違い、
4週間と期間が短いことで、既存の社会保険料免除のルールでは不利なケースが生じます。

今回は、その場合の社会保険料免除の新設制度とともに、ケースごとに注意点を解説します。

※この記事は 2022年8月1日時点の情報を元に解説しています。

保険料免除の原則

現在の保険料免除の原則は、「終了日の翌日が次月になる」場合に限り、
その前月の保険料が免除されます。
例を3つ用意しました。

3つ目の例にあるように、同月内で短期間の育児休業を取得する場合、
社会保険料が免除されません
こちらの問題を解決するために、10月以降、新しい制度が新設されます。

育児休業期間14日以上の保険料免除(新設)

これまで同月内に短期の育児休業を取得する場合、
その月の社会保険料は免除されませんでした。

育児休業期間が14日以上ある場合、その月の保険料が免除となる新制度です。
例えば、10月15日開始-10月30日終了(16日間)の場合、
10月の社会保険料が免除されます。

ただし、以下の点に注意して取得してください。

注意点1

同月内に育児休暇14日以上取得した場合に限り、適用される制度です。
月をまたいでいる場合は、今まで通りのルールが適用されます。

注意点2

2022年10月1日から始まる新制度「出生時育児休業(産後パパ育休)」とは、名の通り男親の育児休暇を促進するための制度です。

出生時育児休業(産後パパ育休)は労使協定を締結することで、休業期間中に一部就業することが認められています。しかし、保険料免除の要件、14日以上の休業をカウントする際に就業日数を控除しなければなりません。
14日間の育児休業期間中に1日就業した場合、休業日数13日となり、免除対象外です。

時間単位で就業した場合、所定労働日数で控除して日換算します。

賞与の社会保険料

1ヶ月を超える期間、育児休業を取得した場合、賞与にかかる社会保険料が免除されます。
ただし、月末がかかるように育児休業を取得した月に限ります。

賞与の社会保険料免除の「1ヶ月」は、暦日(カレンダーベース)で判断されます。期間中に一部就労したとしても、月次保険料の免除と異なり、就業日数の控除は行われません。

男性の育児休業取得が、今後増加することが予想されます。育児休業の終了日によって、保険料免除の範囲が大きく変わってきます。

給与計算する際は育児休業の開始日と終了日に気を付けて、社会保険料の控除を行いましょう。


ユアサイド中宮

解説者

社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員

社会保険労務士 中宮 伸二郎

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。

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