新型コロナウイルスの影響により、派遣社員に4月以降休業をさせることが目立ってきました。4月から6月に支給される給与は、9月以降1年間の社会保険料の決定に用いられますが、休業している場合、どのような扱いになるのでしょうか。今回は、休業手当と社会保険算定基礎届に関するQ&Aです。
※ 2020年6月9日時点の情報を元に解説しています。
目次
【1】休業手当を含めて算定するのでしょうか?
7月1日以降、休業が継続するか否かにより取り扱いが異なります。
【A】 7月1日以降 休業しない場合
休業手当が、
4月【なし×】5月【あり〇】6月【あり〇】⇒4月の賃金で決定します。
休業手当が、
4月【あり〇】5月【あり〇】6月【あり〇】⇒直近の標準報酬月額のままとなります。
【B】7月1日以降 も休業が続く場合
休業手当を含めた4月から6月の賃金で決定します。
また、4月から6月まで100%未満の休業手当を支給し、
7月の随時改定に該当する場合、月額変更届の手続きが必要となります。
【A】【B】どちらの取扱も通常の賃金の100%未満の休業手当を支給している場合を指すため、
休業しながら減額せずに賃金を支払っている場合は、例年通りの取扱となります。
社会保険算定基礎届、月額変更届の解説では、通常の賃金の100%未満の休業手当を
「低額な休業手当等」と呼んでいます。
【2】7月1日以降の休業の継続・解消は、どのように判断しますか?
7月1日の時点で、現に低額な休業手当等の支払いが行われておらず、
その後も低額な休業手当等が支払われる見込みがない場合は、休業が解消されたものと見なします。
具体的には7月1日以降の休業協定締結の有無や雇用調整助成金の休業計画届の提出の有無等で判断します。
なお、雇用調整助成金の休業計画届は、緊急対応期間中は提出を省略することができるとされていますが、
提出しても差し支えありません。
【3】8月以降休業しなくなった場合、手続きは必要ですか?
通常勤務に戻った月を起点に、その4か月後が随時改定に該当している場合、月額変更届の手続きが必要となります。 8月に休業が解消したのであれば、11月に随時改定が必要となります。
【4】休業とは、1カ月間全日休業している場合だけを指しますか?
1か月間に1日でも休業(短時間休業を含む)を実施している場合、対象となります。
解説者
社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員
社会保険労務士 中宮 伸二郎
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。