【2022年10月~】厚生年金・健康保険の適用範囲が拡大!その条件とは?

こんにちは。社会保険労務士の中宮 伸二郎です。

2022年10月から健康保険・厚生年金保険の適用範囲が変わります。
今までは「1年以上の雇用期間の見込み」がなければ、健康保険・厚生年金保険の加入義務対象ではありませんでした。しかし、2022年10月移行は一定の条件を満たすと「2ヶ月を超えた雇用期間の見込み」がある労働者を社会保険に加入させる必要がでてきます。短期間の労働者も対象となることから、社会保険適用の対象となる企業の範囲は拡大します。不適切な運用をしないために要項を確認していきましょう。

※この記事は 2022年3月28日時点の情報を元に解説しています。

適用拡大の対象企業

社会保険の被保険者が常時100人を超える企業が対象になります。同一法人単位で人数をカウントするので、支店・営業所ごとに社会保険に加入している場合でも人数を合算します。
「常時100人を超える」とは、1年のうち6ヶ月以上100人を超えている状態を指します。対象となる企業には、2022年8月までに日本年金機構から通知が送られてくるとされています。

2022年10月の適用範囲拡大の後。「適用拡大の対象企業」になると、被保険者が100人以下に減った場合であっても、短時間労働者を社会保険に加入させる義務を負い続けます。再び対象企業から外れるには「被保険者の4分の3以上の同意」を得た上で、年金事務所に届け出る必要があります。

健康保険・厚生年金保険の適用範囲が拡大された後。労働条件通知書を発行する段階で「更新することがある」となっている場合、最初から保険に加入させなければなりません。

年金事務所が各企業の適用状況の調査を行っています。2022年10月以降、適用拡大の対象企業を重点的に調査することが考えられます。

加入すべき労働者を加入させていなかった場合、入社時にさかのぼって加入させます。また、継続の見込まれる有期雇用派遣社員を3ヶ月目から社会保険に加入させている場合も同様に、2ヶ月遡って加入日を訂正することになります。

追加徴収された保険料をめぐって労使紛争となることもあります。そうならないためにも適切な運用が求められます。


ユアサイド中宮

解説者

社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員

社会保険労務士 中宮 伸二郎

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。

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