「派遣事業報告書」の作成解説④ -第6面-

派遣会社の皆様へ

厚生労働省指定派遣元責任者講習講師、法務と実務に強い派遣特化型の
社会保険労務士、みなとみらい人事コンサルティング代表の泉文美(いずみ あやみ)と申します。

今回もよろしくお願いいたします。

今回は「派遣事業報告書」第6面の作成方法について解説します。

※この記事は 2026年3月24日時点の情報を元に解説しています。

今回も前回の第3~5面に引き続き、「派遣事業報告書」第6面の作成方法について解説します。
それでは、早速「派遣事業報告書」第6面を見てみましょう。

①キャリアコンサルティングの窓口担当者の人数

まず、キャリアコンサルティング担当者の人数を記入します。

▶ 有資格者がいる場合

キャリアコンサルタント資格を持つ担当者がいる場合は、その人数を記入します。

外部のキャリアコンサルタントに委託している場合は、
うち社外の者欄に人数を記入しましょう。

▶ 有資格者がいない場合

資格保有者がいない場合は、「上記以外の担当者」の欄に営業職とそうでない人を分けて人数を書きます。

また「職務経験あり」か「知見あり」か、どちらかに該当する人数を記入します。

※区分方法は、第6面の記載例(吹き出し)を参照してください。
ほとんどは「人事部門での経験あり」になると思われるので「職務経験あり」を選びます。

また、派遣元責任者と兼任している場合は、その人数も記入します。

②キャリアコンサルティングの実施状況

全派遣労働者数

ここでの「全派遣労働者数」は、
報告対象期間中に在籍していた人全員になります。

報告期間については、第1面のコラムを参照してくださいね。

第2面との違い

第2面の「(1)派遣労働者数等雇用実績(実人数)(報告対象期間末日現在)」とは異なるので注意しましょう。

例:9月末締め決算の会社
2024年10月1日~2025年9月30日が2026年6月に提出する報告書の対象期間

〇第2面の労働者数は2025年9月30日時点で在籍している人数
〇第6面の労働者数は2024年10月1日~2025年9月30日に在籍していた人数

つまり、途中で入退社した人も含まれるため、第2面より多くなることが一般的です。

具体例

2024年10月1日時点で在籍40人。2025年6月30日に1人辞めて、2025年9月30日までに新規入社はなかった、という場合であれば第2面は39人。第6面は40人になります。

  • 2024年10月1日時点:40人
  • 2025年6月30日:1人退職
  • その後新規入社なし

→ 第2面:39人
→ 第6面:40人

実施を希望した者の人数/実施した者の人数

報告対象期間中にキャリアコンサルティングを希望した人数、実施した人数をそれぞれ記入します。

原則として「希望者全員に実施」が求められるため、
通常は 希望人数=実施人数 となります。

該当者がいない場合は、「0」と記入します。

③キャリアアップに資する教育訓練

報告対象期間中の入社1年目~3年目の派遣労働者に対しては、必ず教育訓練を実施し、報告書に記載する必要があります。

この訓練は、派遣許可(更新)申請時に作成、提出した教育訓練計画に沿って実施します。

まずは、該当する区分に〇をつけましょう。

  1. フルタイム(1年以上雇用見込み)
  2. 短時間勤務(1年以上雇用見込み)
  3. 1年未満雇用見込み

多くの会社は「フルタイム」に該当するでしょう。

イ 入職時等基礎的訓練

報告対象期間中に入社1年目になった派遣労働者を対象に実施する訓練です。
そのため、通常は「1年目」の欄にのみ数字が入ります。
対象労働者の欄、上段の種別は必ず「1:入職時」になります。
下段は対象人数を入れましょう。実施時間の総計は記入例の通りです。
これは、これ以降の欄も同様です。

ロ 職能別訓練

入社1~3年目の派遣労働者には必須、4年目以降は任意で実施します。
「職能別」とあるとおり、職種ごとに分けて訓練を実施して記載します。

対象労働者の欄、上段の種別は「2:派遣中」または「4:入社〇年目」になります。

ハ 職種転換訓練

職種変更があった派遣労働者を対象に実施します。
該当者がいない場合は、空欄で問題ありません。

ニ 階層別訓練

対象となる派遣労働者がいる場合に実施します。
種別は「入社〇年目」または「無期雇用派遣労働者」を選択します。

ホ その他の教育訓練

上記イ~ニ に該当しない訓練を実施した場合に記載します。
特に訓練計画書に記載していない場合は、実施の義務はありません。

記入時の重要ポイント

イ~ニの訓練については、派遣法で義務付けられた教育訓練のため、
以下の条件を満たす必要があります。

  • 訓練の方法の別:派遣元による実施(必ず「1」または「2」)
  • 訓練の実施主体の別:派遣元または委託した外部研修機関による実施(「1」または「3」)
  • 訓練費負担の別:派遣元による実施(必ず「1」)
    派遣労働者の負担が一部でもある研修は、派遣法に義務付けられたキャリアアップ研修とは認められません
  • 賃金支給の別:派遣元による実施(必ず「1」)
    派遣労働者に完全にお給料を払って実施しないと、派遣法に義務付けられたキャリアアップ研修とは認められません。

これらを満たさない場合、法定の教育訓練として認められません。

一方で、「ホ(その他の教育訓練)」については、これらの条件は義務付けられていないため、
別の選択肢でも問題ありません。

平均実施時間の基準に注意

合計数と平均実施時間数をそれぞれ算出して入れます。

その結果「1~3年目の厚生労働大臣が定める基準を満たす教育訓練について1人当たりの平均実施時間」に入る数字が8以上でないと、派遣法違反になりますので注意しましょう。

教育訓練にかかる賃金額

「キャリアアップに資する教育訓練」実施に当たって支払った賃金額(1人1時間当たり平均)
ここは第3面の派遣労働者平均賃金額(全業務平均)を8時間で割ったものを書きましょう。(円未満四捨五入)

シート作成の注意点

シートを作成する際、

  • 1 フルタイム(1年以上雇用見込み)
  • 2 短時間勤務(1年以上雇用見込み)
  • 3 1年未満雇用見込み

上記のうち、一つに〇をつけて作成します。
「2」や「3」に該当する派遣労働者がいる場合は、この第6面のシートをコピーして「1」とは別に作成します。

該当者がいない場合は、「1 フルタイム(1年以上雇用見込み)」のシートのみで問題ありません。

なお「3 1年未満雇用見込み」でシートを作成する場合、
入社1年目の派遣労働者のみの記載になるため、「入社1年目」の箇所にのみ入力があるシートになるはずです。矛盾が無いように注意しましょう。

これで第6面は完成です!

さいごに

当事務所では派遣事業報告書に関する相談もいつでも受け付けています。

何かありましたら、まずは下記、当事務所HPのお問い合わせフォームから質問してくださいね。初回相談は無料です。


解説者

みなとみらい人事コンサルティング 代表
泉 文美(いずみ あやみ)

横浜生まれ。2005年東京大学卒業。
ハローワーク、労働基準監督署、労働局、厚生労働省勤務経験有。
2012年社会保険労務士事務所開業。
開業当初より厚生労働省指定「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」講師を務める。派遣・紹介関係の顧問先多数。講演・著述の依頼もこなす。
法務と実務両面に強い、派遣・紹介特化型社労士として、役所での勤務経験も活かし、「役所対応に強い社労士」として定評がある。

https://mmjinji.com/