
派遣会社の皆様へ
厚生労働省指定派遣元責任者講習講師、法務と実務に強い派遣特化型の
社会保険労務士、みなとみらい人事コンサルティング代表の泉文美(いずみ あやみ)と申します。
今回もよろしくお願いいたします。
今回は「派遣事業報告書」第3~5面の作成方法について解説します。
※この記事は 2026年1月20日時点の情報を元に解説しています。
今回も前回の第2面に引き続き、「派遣事業報告書」第3~5面の作成方法について解説します。
それでは、早速「派遣事業報告書」第3・4面を見てみましょう。
目次
派遣事業報告書 第3・4面
(9)派遣料金及び派遣労働者の賃金

第3・4面にかけて、自社の対象職種ごとに「派遣料金」と「賃金」を入力していきます。
ここでは、二けたの職種番号に対応する数値を記入します。
この職種番号は、この報告書専用の番号です。
- 派遣の同一労働同一賃金の労使協定で使用する職種番号
- 派遣許可(更新)申請書に記載する職種番号
とは異なりますので、混同しないよう注意しましょう。
あらためて、報告期間中にどの職種へ派遣していたのかを確認し、正しい区分に分類し直してから集計します。
ここからの集計期間は、すべて報告期間になります。
報告期間については、第1面のコラムを参照してくださいね。
派遣料金(1日(8時間当たり)の額)

ある職種に派遣した派遣労働者について、日額で計算を出して記入します。
派遣先から支払われた派遣料金の合計 ÷ その職種に就いた派遣労働者の総労働時間数 × 8時間
※円未満の端数はすべて四捨五入します。
さらに「無期雇用派遣労働者」「有期雇用派遣労働者」に分けて、それぞれを同じ計算式で出して入れます。
日額計算例
派遣労働者平均 派遣料金合計÷派遣労働者の総労働時間数×8
無期雇用 派遣料金無期分合計÷派遣労働者無期分の総労働時間数×8
有期雇用 派遣料金有期分÷派遣労働者有期分の総労働時間数×8
職種27の項目の計算例を出してみましょう。
例)職種番号27
派遣労働者3名(無期2名、有期1名)を派遣している場合
派遣労働者A(総労働時間1900時間) 派遣料金:600万円 … 無期雇用者
派遣労働者B(総労働時間2000時間) 派遣料金:700万円 … 無期雇用者
派遣労働者C(総労働時間2100時間) 派遣料金:800万円 … 有期雇用者
派遣労働者平均の額
派遣労働者平均 (600万+700万+800万)÷(1900+2000+2100)×8
=28,000円
無期雇用派遣労働者 の額
(600万+700万)÷(1900+2000)×8≒30,769円
有期雇用派遣労働者の額
800万÷2100×8≒30,476円
となりますね。
派遣料金の計算についての注意事項
総労働時間には残業・休日出勤分もすべて含みます。
実際の契約単価が「基本2,000円、残業25%増」などであっても関係ありません。
報告書の平均は「料金、労働時間数」すべてを単純に合計して時間単価を出し、8をかけて日額を出します。
また、実際の所定労働時間が1日7.75時間などであっても、必ず8時間で計算します。
よくある間違い
- 派遣契約の時間単価(例:3,000円)×8を書いてしまう
- 派遣契約の日額(例:24,000円)をそのまま書く
これは契約単価の転記であって、労働時間数で計算していません。
派遣労働者の賃金(1日(8時間当たり)の額)

続いて、「派遣労働者の賃金(1日(8時間当たり)の額)」の欄を記入します。
派遣元が支払った賃金の合計額を、その職種に就いた派遣労働者の総労働時間で割り、時間単価を出し、8時間をかけて日額を出して入れます。
業務別の派遣料金は以下の式で計算します。
派遣元が支払った賃金総額 ÷ 総労働時間数 × 8
こちらの項目も、「無期雇用派遣労働者」「有期雇用派遣労働者」に分けて、それぞれを同じ計算式で出して入れます。
さらに、賃金は「無期 / 有期」に分けて協定対象者分をそれぞれ書く欄があります。
ほとんどの派遣会社は労使協定対象でしょうから、同じ額を書くことになります。
労使協定方式と均等均衡方式の両方がいる場合は、協定対象者だけを別に計算して書きます。
労使協定方式、均等均衡方式については、また別の機会に詳しく説明します。
日額計算例
例)職種番号27
派遣労働者3名(無期2名、有期1名)を派遣している場合
派遣労働者平均 派遣料金合計÷派遣労働者の総労働時間数×8
無期雇用 派遣料金無期分合計÷派遣労働者無期分の総労働時間数×8
有期雇用 派遣料金有期分÷派遣労働者有期分の総労働時間数×8
実際に数字を入れてみましょう。派遣労働者3名(A、B、C)AとBが無期、Cが有期
派遣労働者A(総労働時間1900時間) 派遣料金:400万円 … 無期雇用者
派遣労働者B(総労働時間2000時間) 派遣料金:500万円 … 無期雇用者
派遣労働者C(総労働時間2100時間) 派遣料金:600万円 … 有期雇用者
派遣労働者平均 (400万+500万+600万)÷(1900+2000+2100)×8
=20,000円
無期雇用 (400万+500万)÷(1900+2000)×8≒18,462円 協定も同額
有期雇用 600万÷2100×8≒22857円 協定も同額
となりますね。
派遣料金の計算についての注意事項
賃金には、次のすべてを含みます。
- 残業代
- 休日出勤分
- 有給休暇分
- 派遣元で実施した教育訓練時間中の賃金
派遣元が派遣労働者に支払ったものはすべて含めます。
有休や教育訓練分等、派遣先が派遣料金として支払った分に含まれないものがある場合は、忘れずに合計しましょう。
実際の賃金は「基本時給1900円 / 残業はその25%増」などと違うかもしれませんが、
報告書の平均は「賃金 / 労働時間数 」すべてを単純に合計して時間単価を出し、8をかけて日額を出します。
よくある間違い
- 派遣労働者の時給×8を書く
- 日額給与をそのまま書く
これですと、派遣労働者の雇用契約書の給与金額を移すだけで、労働時間数で計算していませんね。
また、共通してよくある間違いは、報告対象期間ではなく、別の集計しやすい期間で1年を区切ってしまうケースです。
例:9月末締め決算の会社
期間:2024年10月1日~2025年9月30日 2026年6月に提出する報告書
「派遣料金」「総労働時間数」「派遣労働者の賃金」すべてこの期間中で合計します。
間違いの例
- ×派遣料金を派遣先の年度に合わせて、
2025年4月1日~2026年3月31日までで合計する - ×総労働時間数を36協定の期間に合わせて、
2025年4月1日~2026年3月31日までで合計する - ×派遣労働者の賃金を所得税処理と合わせて、
2025年1月1日~2025年12月31日までで合計する
普段の給与計算や税務処理とは違う期間でまた再集計が必要なケースがありますので、注意しましょう。
このように第3~4面にかけて、該当する職種欄に記入していきます。
職種欄の記入が終わったら、
もう1度第3面の全業務平均欄に戻り、全体平均を書きます。
全業務平均の書き方

ここでは、単純にマスごとの平均を出します。
例えば、「27の職種」「31の職種欄」の2か所に記入した場合、下記の式で出せばOKです!
(27の数字+31の数字)÷2か所
職種ごとに計算してマスを埋めた後、
さらに(全派遣労働者の全派遣料金)÷(全派遣労働者の労働時間数全合計)×8
といった計算はしなくていいのです。
1職種しか該当がない場合は、その数字をそのまま転記します。
派遣事業報告書 第5面
② 日雇派遣労働者の業務別派遣料金及び賃金

続いて、第5面の記入方法です。
日雇い派遣を行った場合はこれまでの説明通りに日雇い分を別に集計して記載します。
なければ空欄で結構です。
最後に、(10)マージン率等の情報提供の状況 の欄を記入します。
ここでは必ず「インターネット」に〇をつけなければなりません。
その理由は、前のコラムで詳しく説明しましたので、参照してくださいね。
インターネットのほかに、書類の備え付け等を行っている会社さんはそこにも〇をつけましょう。
これで第3~5面は完成です!
次回は「派遣事業報告書」第6面に進み、報告書の各項目の作成方法について解説していきますよ~!
派遣事業報告書はたくさん記入する箇所がありますので、6月の提出に向けて引き続き少しずつ丁寧に解説していきますのでお楽しみに!
さいごに
当事務所では派遣事業報告書に関する相談もいつでも受け付けています。
何かありましたら、まずは下記、当事務所HPのお問い合わせフォームから質問してくださいね。初回相談は無料です。

解説者
みなとみらい人事コンサルティング 代表
泉 文美(いずみ あやみ)
横浜生まれ。2005年東京大学卒業。
ハローワーク、労働基準監督署、労働局、厚生労働省勤務経験有。
2012年社会保険労務士事務所開業。
開業当初より厚生労働省指定「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」講師を務める。派遣・紹介関係の顧問先多数。講演・著述の依頼もこなす。
法務と実務両面に強い、派遣・紹介特化型社労士として、役所での勤務経験も活かし、「役所対応に強い社労士」として定評がある。


「派遣事業報告書」の作成解説② -第2面-






