新型コロナウイルスによる 10代の進路・就職への影響は?

NPO法人がオンライン相談の登録者を対象にアンケート調査を実施

気持ちの変化と不安

新型コロナウイルスの影響により、今年の夏の甲子園は中止が決まった。大きな夢と目標を奪われた高校球児の涙は、テレビマスコミ等でも大きくクローズアップされたが、新型コロナウイルスの存在は、球児以外の10代の中高生の進路にも影響を及ぼし始めている。
NPO法人D×P(ディーピー)(大阪市)は5月1日、10代の進路・就職に関するLINEを使ったオンライン相談の登録者(543人)を対象に行った「新型コロナウイルスの影響について」のアンケート調査結果を発表した。


生活面・学習面・収入面・心理面など、複数の観点から質問内容を設定。中高生を中心に97件の回答をもとに10代の進路・就職に関する興味深いデータが公開されているので、紹介したい。
まずは「気持ちにどのような変化を感じていますか?」という質問では、「何もやる気がでないようになった」が最多。次いで「理由もなくイライラすることが増えた」「急に不安になることが増えた」が回答肢のトップ3。

 図表1 気持ちの変化について(NPO法人D×Pアンケート調査より)


また、「いま、不安に感じていることは何ですか?」という質問では、回答肢で最も多かったのは「勉強が遅れる。学力が下がる不安」。次いで「身近な人の感染」「運動不足などで不健康になる」がトップ3だった。中には「親の収入が減ってしまう、またはすでに減っている」(20人)、「自分の収入が減ることでの、今後の生活費」(15人)などの経済的な事情に不安を感じている10代も少なからず存在している。

 図表2 今、不安に感じていることについて(NPO法人D×Pアンケート調査より)


この結果について、認定NPO法人D×Pの今井紀明理事長は「新型コロナウイルスの影響で、回答者のうち9割近くの中高生が、生活に大きな変化を感じています。特に、回答者のちょうど半数にあたる49人が『何もやる気が出ない』と答え、無気力な状況になっていることが伺えます。休校措置が長引いた場合、孤独感が強くなったり、人とのつながりが薄れたりと、将来的な進路などにも悪影響を及ぼすことが懸念されます」とコメントしている。

「仕事の機会をつくる」が重要

アンケート回答者のうち、アルバイトをしている10代は30・9%(30人)。その中の51・6%(19人)が「新型コロナウイルスの影響で就業時間が減り、収入が減る」と答えているほか、「食べるものに困っている」というかなり困窮した状態にある10代も25%(7人)おり、長引けば健康と生命にも大きく影響することが今回の調査で浮き彫りに。

【出展】認定NPO法人D×P コロナ禍による、中高生への影響をアンケート調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000053323.html  (参照:2020年7月1日)

この点について、先の今井紀明理事長は次のようにコメント。
「求人数が減っていくことが予想される中で、10代が仕事をする機会をつくることが重要な課題となります。今回のアンケートでも、42人が在宅ワークに興味があると答えていますが、そのうちの半数が『自宅にパソコンがない』または『Wi-Fi環境がない』と答えています。10代でも可能な在宅ワークの開拓を進めていくとともに、パソコンの寄贈やスキルアップできる機会を提供する仕組みをつくっていきます」。
D×Pでは現在、自身や家庭の収入減少を不安に感じる10代の支援策として、在宅ワークに興味がある10代へパソコンやスキルアップ機会を提供する取り組みを実施中だ。


この記事は、株式会社オーピーエヌ発行の「月刊人材ビジネス」2020年6月号の一部記事を抜粋、転載して構成されています。

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