こんにちは、社会保険労務士の中宮 伸二郎です。
2025年4月1日から雇用保険の制度が変更されます。育児休業給付の延長手続きの厳格化は既にお知らせしていますが、厳格化だけではなく育児に関する新たな給付金が2種類設けられます。
今回は、2025年4月1日に改正される雇用保険制度について解説します。
2025年4月は、他にも雇用保険の給付に関していくつかの改正があります。
※この記事は 2025年1月7日時点の情報を元に解説しています。
目次
給付制限期間の短縮
安心して再就職活動を行い、労働移動を円滑化するために自己都合退職の給付制限期間が2か月から1か月に短縮されます。
さらに、離職前1年以内にリスキリングを行った場合、給付制限期間はありません。離職期間中にリスキリングを行った場合は、給付制限が即時解除されます。
給付制限解除の対象となるリスキリングは、教育訓練給付金の対象となる教育訓練等が指定される予定です。
厚労省資料 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf より抜粋して作成
出生後休業支援給付の創設
夫婦ともに育児休業を取得した場合、育児休業給付(出生時育児休業を含む 以下同じ)に出生後休業支援給付が加算されます。育児休業給付は、休業前賃金の67%が支給されます。出生後休業支援給付は、休業前賃金の13%が支給され、合計80%が給付されます。
出生後休業支援給付には社会保険料がかからない為、休業前の賃金と手取りで見ればほぼ同額が支給されることになります。
出生後休業支援給付の支給期間は、28日分が上限とされています。
出生後休業支援給付の対象者
出生後休業支援給付を受けるには、
雇用保険に12か月以上加入している等、育児休業給付の受給要件を満たしつつ、次の要件に該当している必要があります。
- 父 子の出生後8週間以内に2週間以上の育児休業を取得した者
- 母 産後休業終了後8週間以内に2週間以上の育児休業を取得した者
引用:令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について
育児休業給付の給付イメージ
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf
厚生労働省(参照 2025-01-08)
上記要件に該当していなくても支給される場合
給付要件に該当していなくても、次の場合は例外として本人のみの育児休業で受給ができます。
- 配偶者がいない場合(ひとり親)
- 配偶者が雇用保険被保険者ではなく、育児休業を取得できない者の場合
- 単身で育児休業を取得した場合
育児短時間就業給付の創設
「育児短時間就業給付」とは、育児のために短時間勤務を選択し、賃金が低下した労働者のための制度です。
2歳未満の子を養育するために育児短時間勤務をしている雇用保険被保険者に対し、短時間勤務により減少した賃金の一部が育児短時間就業給付として支給されます。
給付金額の計算方法
給付金の額は、以下の方法で計算されます。
※ 2025年1月7日時点では逓減(ていげん)率は公表されていません。
育児に関して新たな給付金が設けられることで、育児休業を希望する男性の増加や育児休業後の働き方の希望に変化が生ずることが予想されます。
派遣会社は、対象者に対して適切な情報提供を行うことが求められます。
解説者
社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員
社会保険労務士 中宮 伸二郎
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。