育児・介護休業法改正対応<産後パパ育休制度>

こんにちは。社会保険労務士の中宮 伸二郎です。

育児・介護休業法の改正が、2022年の4月と10月に施行されます。
話題の「産後パパ育休制度」は、育休とは別に「子どもの出生後8週間以内に4週間まで育休が取得可能」な制度です。

10月1日施行ですが、4月施行にも企業が対応しなければならない重要な改正が含まれています。
今回は、育児・介護休業法の改正について解説します。

※この記事は 2021年11月15日時点の情報を元に解説しています。

【1】有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件緩和(2022年4月1日施行)

有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件2つのうち、 「引き続き1年以上雇用されていること」 が廃止されます。

ただし、有期・無期にかかわらず「雇用期間1年未満の者」を育児・介護休業を認めないものとして、労使協定で定めている場合は、今回の改正の影響を受けることはありません。自社の育児介護休業の除外対象者に関する労使協定の内容をご確認ください。

【2】育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(2022年4月1日施行)

育児休業(産後パパ育休を含む、以後同じ)の申し出が円滑に行われるようにするため、企業は以下のいずれかの措置を講ずる義務が課せられます。

①育児休業に関する研修の実施
②育児休業に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③自社の労働者の育児休業取得事例の収集・提供
④自社の労働者へ育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

上記①~④は、複数の措置を講じることが望ましいとされています。例えば相談窓口を設置する他に、④方針の周知を図ること等が考えられます。

【3】妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別周知・意向確認

本人または配偶者の妊娠・出産の申し出た労働者に対して、企業は以下の事項を周知するとともに育児休業の取得意向を確認しなければなりません。周知と意向確認方法は、面談、書面交付、電子メール等、FAXいずれかの方法によるとされています。

これらの措置は、育児休業申出が円滑に行われるようにすることを目的としているため、取得を諦めさせるような言動を含む周知や確認は、マタハラ(=マタニティハラスメント)となってしまいます。

4月からの実務として、周知事項をパンフレットにまとめたものを準備し、それを用いて説明することや、電子メール等に添付して送信する方法で個別周知を図ることになると思います。

周知事項
①育児休業制度
②育児休業の申し出先
③雇用保険の育児休業給付に関すること
④育児休業期間中の社会保険免除に関すること

【4】産後パパ育休の創設(2022年10月1日施行)

現行の男性(夫)の育児休業制度とは別に、出生時育児休業制度が新たに設けられます。子の出生後8週間以内(妻の産後休業期間)に4週間の取得が認められます。

産後パパ育休は、2回までの分割取得や労使協定の定めるところにより、休業中の一部就業を認めるといった産後パパ育休を取得しやすい制度となっています。

【5】育児休業の分割取得(2022年10月1日施行)

育児休業を分割して2回取得できるようになります。同時に保育園等に入園できず、1歳半、2歳まで育児休業を延長した場合の育児休業開始時期も柔軟な取り扱いとなります。現行制度では、延長開始日からしか育児休業を取得できなかったところ、延長期間中に夫婦で交代することが可能となります。

厚生労働省 資料:「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」から抜粋 2021年11月15日参照https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

産後パパ育休制度」 では、出産直後のお母さんと赤ちゃんをサポート。2回目の育児休業では、 お母さんの職場復帰を支援し、男女ともに仕事と子育てを両立できるよう、お父さんには制度を活用いただきたいものです。


ユアサイド中宮

解説者

社会保険労務士法人 ユアサイド
代表社員

社会保険労務士 中宮 伸二郎

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。8名の社会保険労務士を擁する事務所の代表として様々な業種の労務問題にかかわる。有期雇用、派遣社員に関する実務に詳しく、2007年より派遣元責任者講習の講師を務める。

http://yourside.biz/index.html