
派遣会社の皆様へ
厚生労働省指定派遣元責任者講習講師、法務と実務に強い派遣特化型の
社会保険労務士、みなとみらい人事コンサルティング代表の泉文美(いずみ あやみ)と申します。
今回もよろしくお願いいたします。 今回からはすべての派遣会社が定期的に行わなければならない、派遣許可事業の更新手続きについて解説します。
※この記事は 2026年7月21日時点の情報を元に解説しています。
目次
ポイント1 なぜ、この時期にこのコラム内容?
なぜこの時期に、と思われる読者の方もいるかもしれませんね。
実は、このコラム執筆時の令和8年は派遣の許可更新を行わなければならない派遣会社さんが特に多い年なんです。
理由は平成27年の派遣法大改正です。これについての詳細解説は割愛しますが、
この改正派遣法に基づいて派遣許可を新規に取得した派遣会社さんも多く、ちょうど更新がこの令和8年に来ていることが多いんです。
私も社会保険労務士として、今年は毎月のように顧問先の派遣会社の更新申請手続きを行っている状況です。
「ちょうど今年が更新だ」という会社さんはもちろん、「まだ先だから関係ない」と思われる会社さんも、いざ更新時期を迎えたときに、このコラムを参考にしていただければと思います。
このコラムを読んでいる読者の方は、すでに派遣事業を営んでいる会社の方が多いと思うので、新規で一から派遣許可を取得するのではなく、更新手続きについて書いていきます。
ポイント2 派遣許可更新はいつまでに行う?
派遣許可は一度取得したら永久に続くものではありません。
例えるなら運転免許と同じで、定期的な更新が必要です。
新規に取得して、初回は3年後、その後は5年ごとに更新します。
まずは自分の会社の派遣許可証を確認しましょう。そこに、派遣許可の有効期間が書いてあります。
更新申請の期限は、有効期間満了日の3か月前までです。
そして、この期限は1日たりとも延長することができません。万が一、期限までに更新申請ができなかった場合は、更新ではなく新規申請として手続きをやり直すことになります。
例えば、派遣許可の有効期間が「令和3年12月1日から令和8年11月30日」とあった場合、
終了日3カ月前の「令和8年8月31日」が更新手続きの期限になります。
もしうっかり手続きを忘れて、令和8年8月31日までに更新ができないと、
新規に派遣許可を取得する手続きをしなければいけなくなってしまうことになるのです!
派遣許可を失効してしまった場合、新規申請では審査に時間がかかります。
新しい許可が下りるまで「派遣事業を行えない期間」が発生する可能性があります。
更新までの審査が3ヶ月程度ですから、
令和8年9月中に慌てて新規申請したとして、何とか間に合えば令和8年12月1日に新規に許可が降りて、途切れなく派遣許可を続けることができるかもしれません。
しかし、そう都合良く行く保証はどこにもありません。
もし9月も下旬ごろに申請したり、審査に時間がかかってしまったりしたら…?
これが更新でしたら期限までにきちんと手続きすれば、役所としても当然必ず有効期間が途切れないように新しい派遣許可証を発行してくれます。
ところが新規許可の場合、審査終了までに時間がかかったとしても「いつまでに許可証を発行しなければならない」という義務は役所側にはないわけですから、
例えば、令和9年1月1日に許可となってしまっても文句は言えないわけです。
そうすると、令和8年11月30日に現在有効の許可が切れてしまうわけですから、12月の1か月は派遣許可がない、空白期間となってしまいます。
この空白期間中に派遣事業を行ってしまうと、無許可で派遣を行ったことになり、
「1年以下の懲役、100万円以下の罰金」という最も重い罰則が課せられる、派遣法違反となります。
では、法違反にならないために1か月も派遣ができないとなったら…?
売上が止まるだけでなく、派遣先や派遣労働者にも大きな影響を与え、会社経営そのものに関わる事態になりかねません。
考えたくもない最悪のシナリオですね。
新規申請となれば更新より提出書類も増え、登録免許税や収入印紙代などの費用も余計にかかります。
このような事態を防ぐためにも、自社の更新期限を早めに確認し、余裕をもって準備を進めましょう。
ポイント3 更新申請期限当日に役所に駆け込んでも間に合う?
それでは、先ほどの例のように8月31日が申請期限だったら、8月31日に役所に行けば間に合うのでしょうか?
結論からいうと、そのような進め方ができるケースはほとんどありません。
実務上の期限はもっと早く来ることがほとんどです。
派遣許可更新申請期限が近付くと、
労働局から、このような通知が各派遣会社さんに送られてくるのが一般的です。
案内の様式や内容は労働局によって異なりますので、必ず自社に届いたものを確認してください。
たとえば、申請期限が6月30日であるにもかかわらず、労働局への更新意向の連絡と来庁予約を5月15日までに行うよう案内されることがあります。
さらに、「6月16日以降の来局では予約が非常に取りづらくなる」と書かれている場合は、実質的に6月15日頃までに来庁して申請することが求められていると考えた方がよいでしょう。
つまり、書類上の申請期限は6月30日でも、実際に労働局へ来庁して手続きを行う日は、それよりもかなり前になることがあります。
では、早めに動くために5月中の予約を取ればよいのかというと、そうでもありません。
5月中は、5月31日が申請期限となっている会社で予約が埋まっており、6月30日申請期限の会社は「5月中の来庁はご遠慮ください」と案内されることがあります。
そうなると、実際に予約できるのは6月1日から15日までの平日に限られることになります。
また予約可能時間も
「役所の開庁時間(8:30~17:15)の間ならいつでも可」
というところもあれば、
「派遣の許可更新の場合10:00~15:00(昼休み12:00~13:00を除く)のみ」
といった具合にさらに受付可能時間が制限されているケースもあります。
そうするとますます皆さんが労働局に来庁できる日時が限られてしまいます。
さらに、労働局によっては、派遣会社ごとに担当職員が決まっている場合があります。
担当制でなければ、こちらの希望日時に空いている職員が対応してくれる可能性がありますが、
担当制の場合は、会社側の予定だけでなく、担当職員の予定とも合わせなければなりません。
ただでさえ少ない平日の受付可能時間の中で、お互いの予定を合わせる必要があるため、予約できる日時はさらに限定されます。
特に注意したいのが、1月や5月です。
1月は年始休暇、5月は大型連休があり、月の前半に役所が開いている日数が少なくなります。
その分、来庁予約も集中しやすく、まさに予約の争奪戦になることがあります。
更新期限が1月や5月にかかる会社さんは、
この許可更新期限を過ぎてしまうと大変なことになるので、他の仕事よりなにより、この日時確保を最優先してくださいね!
提出方法
先ほどの案内の例でいえば、5月15日までに労働局へ連絡し、6月15日までに来庁予約を入れます。
予約日に申請書一式を持参し、その場で労働局の担当者に内容を確認してもらいます。
もし書類に不備があれば、その場ですべて終わるとは限りません。
不足資料の提出や書類の訂正を求められ、後日改めて対応することになります。
その場合でも、どんなに遅くとも本来の申請期限である6月30日までには、追加資料や訂正書類を提出しなければなりません。
後日提出する方法は、再度来庁する場合もあれば、郵送、FAX、メールなどが認められる場合もあります。
対応方法は労働局によって異なりますので、担当者の指示に従いましょう。
また、労働局によっては、更新申請の進め方そのものも大きく異なります。
予約なしで申請書一式を持参し、窓口にいる職員が順番に対応する労働局もあります。
一方で、まず申請書の下書きを郵送し、担当者の確認を受けた後に、清書した申請書一式を持参する労働局もあります。
赤色のレターパックなど、指定された特殊郵便を使用することで、申請自体を郵送で受け付けているケースもあります。
このように、手続き方法は全国一律ではありません。
そのため、労働局から案内が届いたら、
一刻も早く、案内に記載されている電話番号へ連絡しましょう。
担当者名が書かれている場合は、その担当者宛てに連絡してください。
連絡する際は、最終的な申請期限だけでなく、そこに至るまでの流れと、それぞれの期限も確認しておくことが大切です。
たとえば、事前に下書きを提出する必要がある場合は、
「下書きはいつまでに提出するのか」
「労働局からの確認結果はいつ頃届くのか」
「最終的な申請書はいつまでに、どの方法で提出するのか」
といった点も確認しておきましょう。
お疲れさまでした!派遣許可更新申請の案内が届いたら、またこのコラムを参照して、お役立てくださいね!
次回からは引き続き、派遣許可更新申請手続きについて解説していきますよ~! お楽しみに!
さいごに
当事務所では派遣許可更新申請に関する相談もいつでも受け付けています。
何かありましたら、まずは下記、当事務所HPのお問い合わせフォームから質問してくださいね。初回相談は無料です。

解説者
みなとみらい人事コンサルティング 代表
泉 文美(いずみ あやみ)
横浜生まれ。2005年東京大学卒業。
ハローワーク、労働基準監督署、労働局、厚生労働省勤務経験有。
2012年社会保険労務士事務所開業。
開業当初より厚生労働省指定「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」講師を務める。派遣・紹介関係の顧問先多数。講演・著述の依頼もこなす。
法務と実務両面に強い、派遣・紹介特化型社労士として、役所での勤務経験も活かし、「役所対応に強い社労士」として定評がある。
「公正採用選考人権啓発推進員選任報告書」について







